「”ティンカーマン”ラニエリの面目躍如たるレスターの迷走」イングランド・プレミアリーグ

あくまでサッカーは楽しみで見たいので、原則的に贔屓チームが負けたと分かっている試合をわざわざ見る事はしないんだけど、昨日はこれ以外に選択肢が無かったので、レスターがチェルシーに0-3で完敗した試合を選んでみた。

最近の流行をラニエリ監督もキャッチアップしたのか(笑)、レスターのフォーメーションは3-1-4-2の5バック。とは言え、3バックの左がSBで高さのないフクスで、左WBが若手のチルウェル、アンカーが初先発のエンディディと狙いが良く分からない選手起用。

実際に試合が始まってみても、エンディディはしょっちゅうCBに吸収されて4バックのようになり、チルウェルとオルブライトンのWBも下がって6バックになったりする場面も多く、序盤こそPA内に攻め入る場面はあったものの、その後はムサが消えてヴァーディが孤立し、ひたすら守るだけの展開に終始。

ところが前半の6分に、案の定エンディディがDFラインに入るのかバイタルをカバーするのかポジショニングで迷ったところにクロスを入れられ、競り合った混戦からマルコス・アロンソに押し込まれてチェルシーが先制、専守防衛のレスターのゲームプランはあっという間に崩壊する。

ただチェルシーの方も1点を取ってからは攻撃がパッとしない。1トップでスタメンを張っていたジエゴ・コスタがコーチと対立したという噂でベンチ外、3トップはアザール、ペドロ、ウィリアンというメンバーだったが、5~6バックで守り倒すレスターの前に前線でなかなか基点が作れず、遅攻からサイドに展開してはクロスを跳ね返されるというループ状態。

そんな悪い状態のがっぷり四つが動いたのは後半6分。右サイドのFKからこぼれたボールをマルコス・アロンソがシュート、コースはGK正面へと飛んだが間に入ったモーガンの足に当たってコースが変わり、GKシュマイケルもさすがに反応できずチェルシーが2点目。

レスターは後半15分に岡崎を投入して4-3-3にフォーメーションを変更するが、逆に4バックがボールサイドに寄った反対のスペースを使われる機会が多くなり、26分にワンツーから右サイドを抜け出したウィリアンのクロスがシュマイケルに当たって浮いたボールをペドロに押し込まれて3点目。これで完全に勝負は決まってしまった。

ラニエリ監督は3バックの採用に手応えを感じていたようだが、3バックの前のアンカーという難しい役割を与えられたエンディディのプレイはぶっちゃけ「そこに漂っていた」だけだし、それだけ人数をかければジエゴ・コスタが居ないチェルシーならそこそこ守れるのは当たり前。4-3-3もとりあえず攻めることは出来たがサイドの守備がおろそかになったし、結局攻守のバランスは最後まで取れていなかった。レスターにとっては残念ながら、”ティンカーマン”・ラニエリの迷走はまだまだ続きそうである。