「途中での失速は残念だが、ボーンマスはハリルホジッチジャパンのお手本だ」イングランド・プレミアリーグ 第20節 ボーンマス-アーセナル

昨日はさすがに特に見るべき試合が無くなって、10日前に行われたプレミアリーグの前節、ボーンマス対アーセナルの試合を結果を知らずに見始めたのだが、こんなに面白い展開になっていたとは予想外だった。

昨シーズンのボーンマスはチャンピオンシップから昇格して16位と、ギリギリ残留を果たしていたようなチームだったので今年も同じようなものかと思ったら、何とサウサンプトンよりも上位にいる9位と大躍進。そりゃアーセナルを相手にしても良いゲームをするのは当たり前だよね。

ボーンマスのフォーメーションは4-2-3-1で、守備時には4-4-2の3ラインを組み、SBがサイドラインへマークに出たら、CBとの間のスペースをボランチが下がって埋めるディアゴナーレが忠実で、ボールを奪ったら高く上がった逆サイドのウイングへ大きく展開して基点を作る、イングランドでは珍しいサッキ式ゾーン・ディフェンスがしっかりと機能しているチーム。

前半16分に挙げた先制点は、まさにゾーン・ディフェンスの手本のような攻撃で、右サイドのスタニスラスから左サイドを駆け上がった左SBダニエルズに大きなサイドチェンジが通り、ダニエルズは慌ててマークに来たベジェリンを落ち着いて交わしゴールを決めた。そして20分の2点目も、中盤でボールを奪ってから素早く左サイドへ展開、ジャカがPA内で体を倒してしまいPKと、ボーンマスの速くて大きな展開の攻撃にアーセナルの守備が後手に回ってやられてしまっていた。

その後はアーセナルも、それまで攻撃で一人気を吐いていたサンチェスの切れのあるプレイで盛り返すが得点できず、逆に後半の13分に1本のロングパスからフレイザーが抜け出し、チェフの股間を抜く3点目を決めた時には、さすがにアーセナルもここから追いつくのは難しいだろうと思われた。

が、ボーンマスは3点目を取った安心もあったのだろうが、このあたりから突然前線のプレスが弱まってアーセナルが自由にサイドへと展開できるようになり、完全にボーンマスを鳥かご状態へ追い込んでしまうと、25分にクロスをジルーが頭で流してファーにいたサンチェスが押し込み3-1とすると、5分後にはゴール前での大きなワンツーから抜け出したルーカスが決めて1点差。

さらに後半37分にボーンマスはフランシスが足の裏を見せた両足タックルで一発退場、これで完全に試合は分からなくなってしまったが、その後はボーンマスも何とかアーセナルの猛攻を耐え忍び、逃げ切りゴールが見え始めたロスタイム、右からのクロスに飛び込んだジルーのヘディングがファーに決まり、アーセナルがとうとう同点に。ボーンマスも最後にチャンスは作ったが決まらず、試合はそのまま同点で終了した。

後半からの失速は残念だったが、組織だったゾーン・ディフェンスの守備と素早く大きな攻撃は、まさにハリルホジッチジャパンの目指す方向と同じものであり、攻撃陣にマフレズやヴァーディといったスターがいないという点では、日本のサッカーにとってはレスターよりも参考にすべきチームなのではないかと思った。でも今期で下手にブレイクしてしまうと、監督のエディ・ハウがビッグクラブに引き抜かれてしまうかもね・・・