「こういうチームだからこそ、酒井宏樹は自分で得点を決める意欲が必要だ」フランス・カップ ベスト64 トゥールーズ-オリンピック・マルセイユ

高校サッカーが終わって、プレミアリーグが2週間空くこの1月中旬が、日本のサッカーファンにとっては一番ヒマな時期なのではないか。という事を毎年書いているような気がする。

しかし今はDAZNという救世主がいるので、その中から酒井宏樹が出場していたフランス・カップのベスト16、トゥールーズ対マルセイユというマニアックな試合を見てみた。あまりマイナーなので、アナウンサーと解説が入っていない、場内だけの音声という環境映像である(笑)。

フランスサッカーのファンの方には申し訳ないが、やはり相変わらず戦術的にはほとんど見るべきものが無い試合。どちらも4-1-4-1というフォーメーションだが、DFラインとそこから先は全く連動しておらず、4バックは幅の変化がなく選手が単に均等な間隔で並んでいるだけで、互いのカバーリングという意識は存在せず、そのエリアに来た選手を個人能力で止めるのみ。で、そこを突破されるとあっという間に大ピンチ。

試合は序盤から、公式戦で6試合負け無し、リーグでも6位に浮上して来たマルセイユが前に出る。と言っても、アフリカ系選手が多いチームはだいたいあまり前線がDFにプレッシャーをかけず、アンカーが下がらなくてもSBが高い位置で楽々とボールを受けられるので、クロスを上げられる位置まではベルトコンベアー状態というだけの話。そしてボールを奪われると、SBが上がっててカバーがいないので、トゥールーズがカウンターから何度も決定機を作る。が、これもガンガン外してくれる極めて大味な展開。

スコアが動いたのは後半3分。バイタルがぽっかり空いたトゥールーズの守備を割ってロペスがドリブル、右へ出したスルーパスをカベラがGKが動いた反対のニアに流してマルセイユが先制。しかし相変わらず雑な守備のマルセイユが耐えられるはずもなく、12分に相手のゴール前ドリブルを一度はカットするも、それが味方に当たってスルーパスのような形でPA内に転がり、ドゥルマズが決めて同点に。

試合はその後、マルセイユが左サイドでのFKからファーでフリーになったトヴァンが決定的なヘディングを放つもボールは枠の外へ。そのまま90分で決着はつかず延長戦に突入したが、延長後半2分にマルセイユは交代で入ったマシャクがワンツーで中央突破、シュートはブロックされたがこぼれ球が右サイドに飛び出したアレッサンドリーニのほうへ転がり、折り返しをカベラが押し込んでマルセイユが勝ち越し、このまま2-1で試合終了。マルセイユがベスト32へと駒を進めた。

酒井は一応ボールは持てていたけど、一生懸命オーバーラップしても良いタイミングでボールは出て来ないし、上がったら味方が中途半端なミスで奪われて裏を使われるしで、使われる側としてはあまり機能出来てなかった。それなら、もっとフェイントでマークを剥がしたり、個人で突破できる能力があればいいんだけど、今からじゃなかなか難しいよねえ。あと、せっかくサイドでフリーになっていても、単にサイドチェンジを待っているだけで、中に飛び込んでシュートを呼び込む姿勢が少ないのは気になった。こういうチームなので、アシストに徹するよりも自分で決める意識がもっと欲しいところ。そうすれば、代表でももっと怖い選手になれると思う。