「戦術的な幅で、東福岡よりも一枚上手だった青森山田」全国高校選手権 準決勝 青森山田-東海大仰星

東福岡を1-0で破った試合を見て、東海大仰星は高円宮杯王者である青森山田に対しても良い試合をするのではないかと思ったが、その予想通りの熱い展開になった試合だった。

青森山田のフォーメーションは東福岡と同じ4-1-4-1だったが、こちらはちゃんと現在の戦術トレンドを踏まえていて、マイボール時にはアンカーの住永が下がって3バックになり、SBを高い位置に上げてビルドアップする事で、サイドへの早い展開を作り出していた。

当然、東海大仰星もそこは予測していてサイドを手厚くケアをしており、青森山田の両SBにボールが来てもすぐさまマークに行って縦のコースを切っていたので、ビルドアップから直接得点へと繋がるような攻撃は無かったが、青森山田の先制点はそのSBの高いポジショニングが生み出したと言って良いだろう。

前半23分に、左サイドでのボールキープからオーバーラップしたナイジェリア人を父に持つ三国スティビアエブスにボールが渡り、左サイドをドリブルで抜け出すと一瞬のカットインからファーサイドへのゴラッソを決めてしまう。が、その直後に東海大仰星も得意のロングスローからこぼれ球を拾い、ファーでフリーになっていた松井がクロスに合わせて同点に追いつく。

ただ前半30分頃から、徐々にペースは青森山田に傾いて行く。東海大仰星のプレススピードが少し弱まると同時に、サイドを厚く守って手薄になった中央で、青森山田GK廣末からの正確なフィードが打ち込まれ、中で基点を作ってまたサイドという形が出来始める、すると前半41分に、青森山田のロングスローから放ったシュートはいったんGK宮本がセーブするが、弾かれたボールを高橋が冷静にニアを打ち抜き、4試合連続ゴールで青森山田が勝ち越す。

後半も青森山田のペースで試合は進み、幾度かチャンスはあったが決められないでいると、27分に東海大仰星が得意のロングスローから至近距離でのシュートを放ち、これはGK廣末の鋭い反応で抑えられたが、ここから流れは一気に東海大仰星へと傾く。

40分には長いクロスにするっと抜け出した大崎がGKと1対1になるもシュートは上に外れ、その後にもロングフィードから競り合ったボールがゴールに向かうが、これも廣末が片手一本で弾き出してノーゴール。最後は東海大仰星の反撃に苦しめられたが、青森山田が逃げ切って9日に行われる決勝へと進出した。

東海大仰星は負けたとは言え、多様な戦術で中から外からと攻め立てる青森山田に対し、崩されそうになりながらも最後は個人の粘りで良く耐え、連戦で厳しかったにも関わらず、最後は運動量で盛り返すなど、その戦いぶりは見事だった。青森山田はさすがの貫禄ではあったが、1トップの選手にあまり力強さが無いのが気になる点。相手は東海大仰星と似たタイプの前橋育英だけに、接戦となる可能性は高そうだ。