「戦術の狙いがあまりに中途半端だった東福岡」全国高校選手権 準々決勝 東福岡-東海大仰星

今大会で東海大仰星の試合を2つ見て、これは決してフロックの実力じゃないから東福岡にも良い試合が出来るんじゃないかとは思ったのだが、まさか勝ってしまうとは驚いたね。

試合はもちろん、序盤からというか最初から最後まで東福岡がポゼッションし続ける展開になり、4-4-2のフォーメーションを組む東海大仰星は、東福岡のサイド攻撃に対してSHがDFラインまで下がったほとんど6-2-2のような形でベタ引き、ボールを奪っても前線めがけて適当に蹴り出すだけというアンチ・フットボール的なサッカーで耐え忍ぶ。

それでも、前半14分にガンバ入りが内定している高江のクロスバーを叩いたミドルシュートが入っていれば、間違いなく東福岡が勝っていたはずだ。しかしそのチャンスを逃してからは、ひたすらクロスを上げては中央で跳ね返される単調な攻撃に終始。後半になって攻め疲れたところで、東海大仰星に最初の決定機を作られ、そして26分にCKからの混戦で東海大仰星の吉田が押し込み先制点。

東福岡はまだ時間は十分あったが、先制された焦りからかその後はロングボールとロングスローをゴール前へ放り込むばかりで、さらに中央を固める東海大仰星の守備をやりやすくさせてしまった。そしてそのまま0-1で試合終了。ディフェンディング・チャンピオンの東福岡はベスト8で姿を消す事となった。

4-4-2のゾーンを組む相手にサイドから攻めるのは常套手段ではあるのだが、東福岡の問題はサイドにボールを運ぶまでのスピードにあった。

今の戦術トレンドとしては、4-3-3なら攻撃時にアンカーの選手がCBまで下がり、SBが中盤まで上がった3-2-4-1の形にし、SHとSBが横並びになって相手のサイドの選手を中へ引きつけ、その裏に出来たスペースを交互に使うというパターンが多く見られる。

しかし東福岡の場合は、アンカーが下がらずSBとSHが縦並びになっているため、CBからSBへとビルドアップのパスが来ても、SBは相手のSHにマークされ、SHへの縦パスも相手のSBに狙われているので、ほぼサイドから速く攻める形が出来ず、結局遅攻を繰り返して相手の守備陣形が整った状態でクロスを上げざるを得なかった。これでは、1トップに相当な電柱でもいなければ得点は難しい。

確かに、純粋な実力差を考えれば大きなアップセットではあったが、戦術面を見れば東福岡が負ける要因は十分あった、そんな準々決勝であった。