「高校サッカーの”5分間”は、ここまで結果を大きく左右する」全国高校選手権 2回戦 鹿島学園-東海大仰星

元旦の天皇杯が終われば、高校選手権の季節がやって来る。と言う訳で、2回戦の鹿島学園対東海大仰星の試合を見てみた。

鹿島学園のフォーメーションは中盤ダイアモンドの4-4-2で、ビルドアップ時にはアンカーがCBの間に入り、SBが高く上がる最近のトレンドな戦術を踏襲している。それに対し東海大仰星は、4-2-3-1の形だがビルドアップはほぼ考えず、とにかく前線へ素早くボールを送り込む力技サッカー。

前半はどちらも激しくプレッシャーを掛け合う落ち着かないサッカーで、ロングスローという武器を持っている東海大仰星が放り込んでは混戦からシュートを狙うが、相手に当たるなどで得点までには至らず。

前半も30分を過ぎると、東海大仰星のプレススピードが弱まり、選手個人の技術で勝る鹿島学園が中盤でボールを触って組み立てられるようになるが、相手を完全に崩し切るところまでは行かず前半終了。

この様子だと、さらに運動量が落ちるであろう鹿島学園が有利かなと思われたのだが、後半に入ると東海大仰星のプレッシングがまた復活、鹿島学園は試合をコントロールするどころか、ズルズルとDFラインが下がってしまって防戦一方になってしまう。

東海大仰星はセカンドボールを次々に拾っては、ワイドに流れた選手へと繋いで鹿島学園のDFラインを横に広げ、中へ飛び込む選手にクロスを上げる形でチャンスを量産するも、FW松山が無人のゴールに入れるだけのシュートを大きく外すなど決定機に決められない。

これでPK戦までもつれ込むかと思われた後半40分に、左サイドからのロングボールを新保が繋ぎ、流れたボールを鹿島学園がクリアしたボールを、猛然とオーバーラップして来た松山がカット、そのままゴール前まで突き進んで相手を引きつけたところで、後ろから走り込んでいた見野にパス、これを難なく決めて東海大仰星が劇的なゴールを決め、3回戦へと進んだ。

高校サッカーは、準々決勝までは40分ハーフの延長戦無しなのだが、そのため以前からフィジカルサッカーを展開するチームが勝ち上がる傾向が強いなと感じてはいたのだが、この試合はまさにその典型例であると言える。

良いサッカー≠強いサッカーなのは当然の話ではあるが、過密日程で時間短縮を図った結果が、本来45分間で発揮できるはずのチームクォリティが歪められてしまうのは正直納得し難いものがある。Jユースカップや高円宮杯よりもはるかに世間の認知度が高い大会だけに、何かしらの改善策を検討すべきではないかと思うのだが・・・