「トップ下で、ポストプレイとパサーを兼ねる万能ぶりを見せた大迫」ドイツ・ブンデスリーガ第14節 ケルン-ボルシア・ドルトムント

昨シーズンはバイエルンに次ぐ完全な2強でリーグに君臨していたドルトムント。しかし今期は首位のライプツィヒから勝ち点9差の6位と低迷、第14節のケルン戦でも、後半ロスタイムにかろうじてロイスのゴールで引き分けに持ち込むという低調な内容になってしまった。

その理由だが、個人的にはやはり日替わりでコロコロ変わるトゥヘルの戦術オタクぶりがマイナスに出ているような気がしてならない。確かに香川やゲレイロを始めとして怪我人が続出している事、チャンピオンズリーグとのターンオーバーは考慮しなければならないが、フンメルスやギュンドアンといった主力選手が抜け、若手を起用している段階で戦術まで定まらないので、特に攻撃の部分でチームプレイじゃなくて個人頼みの部分が多くなり、結果的に調子のムラが大きくなってしまっている。

この試合のケルンも、対ドルトムント用に守備に対策をしっかり取って来た。フォーメーションとしては4-3-1-2と一見攻撃的に見えるが、実際は3ボランチの1枚が守備時にはSBの位置まで下がる5-2-1-2の形になり、3-4-3のウイングにいるデンベレとロイスのスペースを徹底的に潰して来た。そしてドルトムントの両ボランチに対してはモデストとルドネフスの2トップと大迫がケア、特にパス配給の要であるヴァイグルには大迫が徹底的にマークして、ドルトムントの攻撃をほとんど機能させなかった。

そして徐々にドルトムントがペースを握り始めた前半の28分に右サイドでFKを得ると、今期ドルトムントのもう1つの弱点である守備の寄せの甘さを突いて、ヘクターのキックに合わせてルドネフスがニアに飛び込んでゴール。そして後半の5分にも、大迫の中盤でのパスカットからモデストに絶妙なスルーパスが渡り、中にルドネフスがフリーでいたがモデストはGKを交わしてシュート、しかしこれがサイドネットへと外れてしまう。ここで2点目が決まっていればケルンの勝利は固かったはずだ。

そこからはまさに大迫劇場で、ケルンは後ろの7人で強固なゾーンを自陣に築き、ボールを奪うとまず大迫にパスを送ると、大迫はヴァイグルの執拗なマークを受けながらもボールを巧みにキープしてファールを誘い、ドルトムントの波状攻撃を一人で遮断する。後半30分にトゥヘル監督はソクラテスを下げてアドリアン・ラモスを投入、2-4-4の超攻撃な布陣で逆転を狙うが、ケルンもルドネフスを下げて大迫とモデストの2トップに変更、後ろの厚みを増して対抗する。

終盤の波状攻撃も何とか持ちこたえて、このままケルンが逃げ切るかと思われたロスタイム、DFへとボールを下げたドルトムントに対して、何故かトップ下のヘクターがプレスをかけに出てしまい、そこからサイドへと繋がれて最後は中でフリーになっていたロイスがクロスに合わせて同点ゴール。ヘクターがしっかり戻っていれば防げた場面だけに、ケルンにとっては何とももったいない失点になってしまった。

ドルトムントは、デンベレとオーバメヤンが今期は頼みの綱になっているが、彼らが活きるスペースが与えられず、ゲームメイクを1人で担っているヴァイグルを潰されると今は手の打ちようがない。ようやく香川とゲレイロが練習に復帰したらしいので、ウインターブレイクの間にどこまでチームとしての形を作れるかが後半の鍵になるだろう。