「例年通りのアーセナルとリバプールである意味安心した」イングランド・プレミアリーグ第1節 アーセナル-リバプール

他国に比べて一足早くスタートしたプレミアリーグ。いきなり開幕戦から、アーセナルとリバプールという好カードの対戦があったので録画を見てみる事にした。

相変わらず財布の紐が堅いアーセナルは、スイス代表のジャカと最近獲得を発表したムスタフィ以外は浅野とホールディングという若手のみの補強で、この試合も新戦力はホールディングのみという地味なスタート。対して積極補強に出たリバプールは、ワイナルドゥム、マネ、クラヴァンと3人の新メンバーを早速使って来た。

いつも打ち合いになってしまうカードではあるが、前半は意外にも落ち着いた内容。リバプールは4-3-3のフォーメーションだが、アーセナルが自陣でボールを持っている時はほとんど前線がプレスに行かず、縦パスを狙ってボールを奪うとゲームを作らずにすぐさまロングボールを前線に放り込むという、クロップのチームらしくない戦い方を選択して来た。

アーセナルはいつも通りの「自分たちのサッカー」で、前線に縦パスを入れたら周りの選手がどんどんボールを追い越してパスコースを作るサッカーでリバプールを押し込むものの、守備も何とかジャパンと似ているところがあって、バランスを考えずに選手が攻撃してしまうために、DFラインと中盤のバランスが崩れ気味で、ロングボールを跳ね返したセカンドボールがなかなか拾えず、リバプールの守備を押し切ることが出来ない。

しかし前半28分に、それまでも不安定な守備を見せていたアーセナル左SBアルベルト・モレノが豪快なスライディングをウォルコットにかましてPK、これをウォルコットが自分で蹴ってPK自体はチェフに阻まれてしまうものの、その2分後にララーナが自陣で失ったボールをイウォビがダイアゴナルにパス、これをフリーで受けたウォルコットが今度はゴールのファーサイドに流し込んでアーセナルが先制する。

アーセナルはこのまま前半を折り返せれば良かったのだが、ロスタイムにゴール前25m付近でファールを犯すと、マンU相手にセルティック時代の中村が決めたような、糸を引いてゴール左隅に飛び込む素晴らしいFKをコウチーニョが決めてリバプールが同点に追いついてしまう。

これで勢いに乗ったのか後半のリバプールは、前半とは打って変わってどんどんと選手がスペースに飛び出す攻撃でアーセナルを圧倒、4分にワイナルドゥムのクロスを中央に飛び込んだララーナが胸で落としてから流し込むシュートで2点目を決めると、11分にはクラインがマークに付かれながらも上げたクロスをコウチーニョが中で合わせて3点目、トドメは18分に右サイドを抜けだしたマネが、そのままドリブルで中へ切れ込んで豪快な4点目と、怒涛の攻撃でアーセナルを木っ端微塵にしてしまう。

アーセナルも4点目を食らってからすぐに、チェンバレンが左サイドからマネと同じようなゴールを決めて反発力を見せ、30分には左サイドのFKからチェンバースがヘディングで流し込んで1点差まで追いすがるが、アーセナルの勢いもそこまで。その後はリバプールが守備を立て直してゲームの勢いを殺し、5分間のロスタイムにもスコアは動かず試合は3-4で終了した。

アーセナルはジルーにコシェルニー、エジルが欠場し、メルテザッカーも怪我でCBレギュラーがおらず、チェンバースとホールディングを並べたがさすがに耐え切れなかった。これでベンゲルに対してさらなる補強を求めるサポーターとメディアの圧力が強まることは避けられそうにない。リバプールについては、マネとワイナルドゥムの活躍はもちろんだが、前半と後半の終わりに見せたような、しっかり守る形も見せられるようになったのは、リーグ戦の長丁場を考えると心強い点だろう。

グアルディオラが就任したシティに、超絶補強のモウリーニョマンU、コンテが鍛えあげるであろうチェルシーも勝利し、今期のプレミアは去年とは違ってビッグクラブがしのぎを削る戦いになりそうである。レスターも残留できるよう頑張れ(笑)。