「世界の戦術トレンドは、ことごとく日本の特性と合わない方向へと進みつつある」EURO2016の戦術的総括

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昨日のツール・ド・フランスについてはあまり何か書くような出来事が無かったので、ざっと今大会のユーロについて、主に戦術的な面についての総括を書いてみます。

結局、グループリーグを4得点3引き分けの3位で勝ち抜け、90分間で勝利した試合がたったの1つしか無かったポルトガルが優勝を飾ったのを見ても、今大会のユーロが「守備の大会」だった事を否定する人はいないでしょう。

決勝トーナメントに勝ち進んだチームを見ても、アイスランドや北アイルランド、スロヴァキアといったダークホースに共通していたのはしっかりした守備組織であり、逆にロシアやトルコのような戦術が整備されていない古豪がグループリーグ敗退になってしまったわけで、今や世界レベルでは個人の力のみで勝ち抜けるチームは無くなったと言ってもいいでしょう。

戦術的なトレンドで言えば、やはりキーワードは「ゾーンの5バック」。3-4-3や4-3-3といった一時期流行したポゼッション指向のフォーメーションが影を潜め、DFと中盤をコンパクトにしたゾーンを作って手数をかけずに攻撃、というスタイルが主流でした。イタリアとウェールズは3バックでしたが、マンマークに移る前はゾーンで見ているので同じカテゴリーに入ると思います。

4バックについては、最近は「間受け」やエントルリアネスと呼ばれる、ゾーンの間でボールを受けて、DFがボールに引きつけられて出来たスペースを使う攻撃が一般化したため、DFラインの4人が自陣ではPAの幅まで寄せて横のスペースを開けずに守る方法が主流になっています。

そうなると4バックの外側にスペースが生まれるため、SBのオーバーラップにサイドチェンジを通して高い位置で基点を作り、相手のSBが外に出て対応した時に生まれるSBとCBのスペースに、SHやボランチが入り込んでパスを受け、マイナスのクロスで折り返して中でシュート、という攻撃パターンがドイツやスペインの得意技になりました。

その対策の1つが、ボランチなどがSBとCBの間に入ってスペースを埋めるディアゴナーレで、フランスやポルトガルはこの方式を採用していましたが、かなり高度な組織と選手の能力が要求されるため、ポーランドやスロヴァキア、クロアチアといったチームはSHがSBの位置まで下がって5バックのような形になって、サイドアタックに対応する4-5-1のフォーメーションを採用していました。ウェールズとイタリアの3バックも、ラインを5人でカバーする思想は同じです。そして忘れてはいけないのは各チームのGKが全てレベルが高かった事。これで、ポゼッションサッカーのスペインや、サイドアタックバカのイングランドが苦しみました。

攻撃面では、全体的に選手のバランスが後ろに偏ることになったため、かつてポゼッションサッカーが全盛期だった時には「0トップ時代」などと呼ばれて消え去る運命のように言われていた、前線で張ってハイボールに競り勝ち、しっかりボールをキープして味方の押し上げを待つ時間を作れる、ジルーやペッレ、マリオ・ゴメスといった古典的な電柱タイプの1トップが復権しました。そこに、ベイルやクリスティアーノ・ロナウド、グリーズマンといったスピードと決定力を併せ持った点取り屋を組み合わせ、カウンターで仕留めるのが最強パターンとなりました。

しかし良く考えてみると、これらの戦術トレンドはことごとく日本が不得意とする分野ばかりである事が分かります。ゾーン・ディフェンスは相変わらず満足に機能できていないし、GKや電柱型FWのレベルは言わずもがな、カウンター向きの人材も不足しています。ユーロに出場していないボスニア・ヘルツェゴビナの単純な4バックを崩せなかった今の日本が、例え今回のユーロに出場したとしても決勝トーナメントに残れる可能性は極めて低いでしょう。

ただユーロの中にヒントが無かったわけではありません。躍進したアイスランドは守備組織自体はスタンダードなゾーンディフェンスに過ぎなく、フィジカルを活かしたプレッシングが強みでした。イタリアも単に引いてマンマークだけじゃなくて、高い強度のプレッシングとサイドチェンジがチームとしての強みだったので、デュエルと運動量などでカバーできる範囲は多いと思います。

まあ、でも所詮それも想像の範囲でしか無いので、とにかく日本もこのレベルの試合が常時出来るような環境が欲しいですなあ・・・

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2016/07/13 | EURO, 未分類

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