「しょせん今のベルギーに試合のコントロールなんて無理なこと」EURO2016 準々決勝 ウェールズ-ベルギー

今朝がた、ドイツとイタリアという事実上の決勝戦が行われ、サドンデスのPK戦までもつれ込む死闘があったばかりだが、ツール・ド・フランスが始まったのもあって到底生では見られず、昨日に行われたウェールズ対ベルギーについて。

戦力的には間違いなく優勝候補なのだが、ユーロに入ってもさっぱりチームとしてのまとまりが無く、どんなサッカーをやろうとしているのか分からないベルギーと、ワールドクラスと呼べるタレントはベイルだけだが、各選手がチームの中で自分がやるべき事をしっかり遂行していたウェールズ。その違いが残酷なまでに現れてしまった試合だったように思う。

試合は序盤からベルギーがフルスロットルで、3バックで守るウェールズの左サイドをアザールが蹂躙し、6分にはゴール前で3本のシュートを立て続けに浴びせると、13分に左サイドの溜めからナインゴランが強烈な無回転ミドルシュートを決めてベルギーがあっさりと先制し、この調子ならあっさりベルギーが勝ってしまうように思われた。

が、何故かここからベルギーはそれまでの勢いがピタリと止んでしまい、自陣でウェールズの攻撃を受け止める時間帯が増えてしまう。それできっちり抑えてカウンターを狙えれば良かったのだが、ベルギーはヴェルマーレンとフェルトンゲンというDFのレギュラーが欠場し、代わって出場した左SBのルカク弟、左CBのデナイエルが簡単に振り回されて相手の選手をフリーにしてしまう。

それでも何とかウェールズの危険なシュートはGKクルトワが反応して防いでいたのだが、前半30分のCKでルカク弟が完全なボールウォッチャーになってしまい、中にいたウィリアムズがどフリーでヘディング、さすがにクルトワもこれは止められずウェールズが歓喜の同点に。その後も何度かウェールズのカウンターが炸裂するも、何とかベルギーはしのいで前半を終了する。

後半も同じように開始からベルギーが圧倒するも、ルカクのどフリーヘディング、アザールの切り返しからのシュートが決まらず、逆にウェールズは後半10分にロングボールから中にいたロブソン=カヌに繋ぎ、ロブソン=カヌは後ろ向きだったが彼をカバーするはずのデナイエルが何故かゴール前を走り抜けてしまい、振り向いたロブソン=カヌはらくらくフリーでシュートを蹴るだけだった。

そこからは早くもベルギーは後半から入ったフェライニを前線に飛び出させ、またヴィルモッツ監督お得意の”戦術フェライニ”だなと失笑したのだが、案外フェライニに放り込むほうがベルギーはチャンスを作れるのだから笑えない。しかしベルギーの抵抗もそこまで、後半40分にウェールズは右サイドへの展開から、マークに入ったルカク弟がクロスを止められず、中にいたヴォークスが頭で流してトドメの3点目で勝負あり。

ここまで個人の力だけで勝って来たベルギーは、DFラインの2人が抜けるとあっさりチームとして崩壊するというところは、最後まである意味ベルギーらしいユーロで終わってしまったかなと。下手に国のレジェンドを監督に祭りあげてしまうとこうなるわけですな。そして殊勲のウェールズは、決勝の座をかけてポルトガルと対戦。ポルトガルもある意味ベルギーとよく似たチームなので、付け入る隙は十分にあるはず。ここまで来たら是非とも決勝に残って欲しいね。