「手倉森組の復活は嬉しいが、ユーロレベルからするとまだ穴は多い」キリンチャレンジカップ U-23日本-U-23南アフリカ

リオ五輪前に国内で行われる最後のテストマッチは、初戦のナイジェリアを想定した南アフリカとの対戦。

試合が始まっていきなり亀川がサイドをぶっちぎられ、その後もリーチの長さと突破力で圧を強める南アフリカに対して日本は劣勢に立たされ、30分には浮き球を亀川が胸トラップした後で手に当ててしまい、ユーロじゃ絶対に取ってない判定だったがPKが宣告され南アフリカが先制する。

この失点は日本にとって良いテストケースになるかと思われたのだが、そこから南アフリカのサッカーが突然雑になり、4バックは一応ラインは作っているんだけど、誰がアタックに行ってカバーするのか、SBがどう絞るのかといった連携がバラバラで、37分に中島のスルーパスから大島が抜け出し、折り返しをフリーだった中島が再リターンっぽい(?)危ないコースに決めて日本が同点。

そして前半終了間際には、中島のサイドチェンジからオーバーラップした室屋に繋ぎ、クロスを矢島がダイレクトで決めて2点目。その直後にも相手のミスを拾った浅野がクロスを上げると、またまたフリーで飛び込んだ中島が頭で決めて3点目。さらに後半開始直後にも、スルーパスに抜けだした浅野が相手のスライディングを交わして4点目のゴールを決める。

そこからは日本も次々に選手を交代し、中島や伊東順也に決定機はあったが決められず、南アフリカにも疲れが見えて全体的にルーズな試合になるがそのままスコアは動かず4-1で終了。日本は快勝ではずみをつけてブラジルへと旅立つ事になった。

手倉森ジャパンでずっとレギュラー格だったが怪我で抜けていた、中島と室屋が完全復活、奈良と岩波が怪我で厳しいCBで中谷が安定感のあるプレイを見せて、日本にとっては明るい材料が多かった試合だったが、この試合で最後の判断となるメンバー選出という意味では、結果を出せなかった野津田、豊川、松原、伊東純也といった当落線上の選手は厳しい立場になってしまった。

また、五輪本番での試合を考えると、4-4のゾーンは比較的コンパクトに保たれてはいたが、ユーロを見続けていた視点からするとトランジションの際にポジションへ戻る動きが全体的に遅く、特にボランチの大島と井手口が自分のスペースをおろそかにしがちで、バイタルをFWの選手が埋める意識も低く、これが本大会ならあっさりど真ん中を破られてしまう危険性を感じた。もっともっと手倉森監督は選手に危険察知能力を要求すべきだろう。

さて、これで7月1日にリオ五輪本大会のメンバー発表になるわけだが、果たしてOAを差し引いた残り15人の中に、この試合やトゥーロンのメンバーから誰が選ばれるのか、本当に楽しみである。