「交代したFWが大活躍のホジソンマッチポンプ采配」 EURO2016 グループB イングランド-ウェールズ

同じ大英帝国に属するイングランドとウェールズが対戦する、いわばバトル・オブ・ブリテンとも呼べる注目カード。

イングランドのフォーメーションは伝統の4-4-2で、FWはケインとスターリング、ボランチの一角にはルーニーが入るという初戦のロシア戦と全く同じメンバー。対するウェールズは、3-5-2で注目のベイルは2トップの一角。

試合はいきなりカウンターからララーナからのクロスにスターリングが飛び込む大チャンスがあったが上手く足に当てられず、イングランドにとっては嫌な雰囲気のスタートとなる。ウェールズの守備は事実上の5バックで、イングランドの2トップをCB3人で見ながら、サイドのスペースをしっかり埋める作戦。

イングランドは、ルーニーが何度も見事なサイドチェンジを繰り出して、何とかウェールズの守備を揺さぶろうとするが、サイドはWBで抑えられてなかなかそこからフリーでクロスを上げられないし、ケインの調子がイマイチで相手の守備に埋もれて存在感がない。

すると前半42分、ゴール前35mぐらいの地点でウェールズの選手がファールをもらってFKをゲット、距離はあったがベイルが左足を一閃すると、ボールは無回転で鋭く落ちながら曲がり、イングランドGKハートは何とか手には当てたがボールはすり抜け、劣勢だったウェールズが先制する。

追い詰められたイングランドは後半から、ケインとスターリングに代えてヴァーディ、スタリッジを入れる、まさかのFW2枚替えという大胆な策に出る。

するとこの策が見事に当たり、後半11分にスタリッジのクロスをゴール前で競り合うと、ボールがヴァーディの前に転がり、ヴァーディは落ち着いて押し込み同点に。この場面は一見オフサイドに見えたが、ヴァーディへのボールはウェールズの選手が触っていたのでセーフだった。しかしヴァーディは持ってるね。

その後もイングランドの猛攻は続き、ウェールズはレドリーが負傷退場して中盤で歯止めが効かなくなって厳しい状況。しかしルーニーの華麗なフェイントからのシュートに食らいついてブロックするなど、意地の守りを見せてイングランドに得点を許さない。

そしてこのまま引き分けで終わるかと思われたロスタイム、スタリッジが左サイドでボールをキープすると、ワンツーでPA内に浸入、細かいドリブルから最後はウェールズGKヘネシーのニアを抜くシュートを決め、イングランドが劇的な勝ち越し。試合はそのまま終了、イングランドはグループリーグ突破に向けて大きな勝ち点3を手に入れた。

それにしてもホジソン監督は、ドローで終わったロシア戦でもヴァーディを使わなかったし、結果的には采配が当たった格好になったが、FWは調子の良い選手を使うという鉄則からすると、何故不調のケインを優先するのかという疑問は残る。アリもいまいち存在感が無く、売りのスパーズ組が冴えない状況。最終戦のスロバキアはウェールズよりも洗練された相手なので、これで喜んでると足元をすくわれかねないよ。

ウェールズは、今やレアルがベイルのチームになりつつあるように、FKにドリブル、シュートの威力と両チームの中でも別格のタレントを見せつけた。が、さすがにベイル1人だけではイングランド相手に勝つのは難しい。あ、でもロシアなら行けるかもな(笑)。