「ペトロヴィッチ監督のシルバーコレクターぶりには明らかな理由がある」天皇杯 決勝 ガンバ大阪-浦和レッズ

元日はいろいろ忙しくて1日遅れになってしまいましたが、皆様新年明けましておめでとうございます。

今年もマイペースでグダグダと試合の文句を書き連ねるつもりでおりますので、何卒よろしくお願い致します。

さて、2016年の新年を飾る天皇杯元日決勝は、ガンバ大阪がパトリックの2ゴールで浦和を突き放し、昨年に続いての天皇杯連覇を決めた。逆に、浦和はこの5年間で5度目の準優勝というシルバーコレクター記録を更新してしまった。

2-1という点差が示すように試合展開は非常に拮抗していて、ガンバが少ないチャンスをきっちり決めたのに対し、浦和は終始ポゼッションで上回りながらも決定力に欠け、李忠成やズラタンがフリーのヘディングを外すなど、肝心なところで決められなかった事が運命を分けたと言えるだろう。

ただ、浦和はガンバに対して攻略の糸口はたくさんあったはずなのに、結局プレイのディテールの甘さや選手起用のミスマッチのおかげで、みすみすガンバに勝利をプレゼントしてしまったという印象が強い。

ガンバの戦術は、4-4-2のフォーメーションで低めの位置にゾーンを組み、ガンバの2トップが浦和のDFにほとんどプレスをかけない形だったのに、ゆっくりとサイドにボールを回すだけで、有効な縦パスや早いサイドチェンジでガンバのゾーンを切り崩す形がほとんど見られなかった。

それは怪我で欠場した柏木がいない影響もあったのだろうが、森脇や槙野という攻撃的なCBを使っている割にはチャレンジが少なすぎるし、後半のわずかな時間に興梠が中盤まで下がってポストプレイをした時は良い組み立てが出来ていたのに、ズラタンの投入で役割があいまいになってしまった。

そしてもう1つ大きな疑問だったのはサイドの使い方。ガンバは4バックで宇佐美がSHだったので、ポゼッションで上回って攻撃時には5トップになる浦和がサイドで圧倒的に主導権を握っていたのに、結局浦和の得点は梅崎が宇佐美を振りきってからのクロスを李が頭で合わせ、ゴールポストの跳ね返りを興梠が決めた1点だけに終わってしまった。

確かに関根や高木俊幸のドリブルでの仕掛けは派手で見応えはあるが、結局時間がかかってガンバの守備陣がポジションを整えた後でクロスを上げる事になるので、李や興梠はもちろん、ズラタン程度の中途半端な高さでは全く意味が無い。

本来であれば、香川の大きなサイドチェンジからギンターがダイレクトで折り返し、オーバメヤンが中央で抜けだして決めるドルトムントパターンを追求すべき面子なのに、浦和の攻撃にはそういう形が一切無く、サイドで時間をかけて人が密集している中に攻め込む無理筋ばかり押し通している。

ミシャサッカーは、運が無いとか勝負弱いとか抽象的な呼ばれ方をされているが、つまりはディテールを突き詰めていないだけの話のように思う。監督がその課題に気づいて取り組む意欲があれば別だが、なんか変に満足しちゃってるようだし、ワシントンのような規格外助っ人でも来ない限りは今年も変わらないのかなと。

ガンバについては、天皇杯連覇で大団円ではあるが、また来期もオフが少なくACL込みのハードスケジュールが確定。新スタジアムは明るいニュースだが、宇佐美の去就はまだ不明だし、いかにして戦力を厚く出来るかが来期の鍵になりそうだ。