「ベルギーも示してくれた引いた相手への攻略法」EURO2016予選 グループB ベルギー-ボスニア・ヘルツェゴビナ
ともにブラジルW杯では期待されたほどの成績を挙げることが出来なかった両チーム。このユーロ予選でも苦戦中ではあるが、ベルギーホームで行われた第7節は、ボスニア・ヘルツェゴビナがジェコのゴールで先制するものの、地力に勝るベルギーがその後は得点を重ねて3-1で逆転勝利。ベルギーは予選突破に向けて着実に勝ち点を積み上げた。
試合のポイントは、アザール、ルカク、デ・ブライネなど世界でも有数のタレントを揃えるベルギーの攻撃陣を、ボスニア・ヘルツェゴビナがどう抑えるかという部分であったが、ボスニア・ヘルツェゴビナが取った策はゾーンを一旦作りはするが、かなり早い段階からマンマークを仕掛ける守備であった。
アザールとデ・ブライネの両ウイングはSBがマークし、インサイドハーフのナインゴランとフェライニにはダブルボランチが付き、アンカーのヴィツェルは2トップの一角が見るという形で、ベルギーはCBがマークから自由になった形で縦パスやサイドへのフィードを通して来るが、ボスニア・ヘルツェゴビナが粘り強いマンマークでそこから先は攻めさせないという展開。
攻撃とは逆にベルギーの守備には難があり、ディフェンスリーダーのコンパニは、どちらかと言うと相手に素早く寄せて持ち味が出る選手であり、フェライニにしてもヴィツェルにしても、ゾーンのバランスを取るのがいかにも苦手そうで、ボスニア・ヘルツェゴビナがクロスなどでボールを左右に動かすと、守備全体がボールに釣られて右往左往するという、我々としてはどうにも親近感を持ってしまう危なっかしさがあったりする(笑)。
案の定、ベルギーは前半15分に右サイドのドリブルに数的優位で囲みながらボールを奪えず、PA内でちょこんと出したクロスをジェコに合わされて失点してしまう。が、そこならようやくベルギーも目が覚めたのか、中盤の3枚が激しくプレスをかけてボスニア・ヘルツェゴビナのパス出しを抑えこみ、セカンドボールを拾って波状攻撃を仕掛け始める。
そして23分に、CKからフェライニが相手のマークを押しのけてアフロ・ボンバーヘッドを叩き込んで同点にすると、前半終了間際には左サイドでアザールがドリブルでボールをキープし、相手を引きつけて中のマークが薄くなったところでデ・ブライネがミドルをズドン。後半はボスニア・ヘルツェゴビナが攻勢に出てベルギーの守備もあたふたするが、GKクルトワの好セーブで何とか凌ぐと、後半23分にアザールがPA内で思いっきり蹴られてPK。これを本人が決めて勝負あり。
フェライニの高さを日本が真似するのは相当無理はあるが、やはりベルギーの2点目、3点目を見ても、ゴールに近い位置のドリブルがチャンスに繋がっており、ハリルホジッチの言うPKやFKのゲットだけではなく、引いた相手に対しては守備陣をドリブルで引きつけ、そこで出来たスペースやマークのズレを使うのが有効であり、カンボジア戦ではもっともっと積極的にドリブルを使っていくべきだと思う。
香川や長友、武藤とドリブルを使う選手は多いけれども、彼らのドリブルはあくまでパスやクロスを出すためにあるのが見え見えで、守ってるほうにとってはコースを切ってゾーンさえ守っていればそれほど脅威には感じられない。やはりアザールやメッシのように少しの隙を見せるとゴールまで奪われてしまう危険性を与えて、初めて守備陣ポジションを放棄してもマークに行かざるを得ない圧力になるわけで、その点で宇佐美にかかる期待は大きいと思う。代表ではガンバと違って遠慮気味だが、もっと危険な位置でボールを受けて、ゴールに向かって仕掛けるプレイを心がけて欲しいところだ。
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