「アフガン戦に向け、オランダからもアイスランドからも学ぶべき点は多い」ユーロ2016予選グループA オランダ-アイスランド

ロシアW杯アジア2次予選の裏では同時にユーロの予選も行われており、グループAでオランダがホームでアイスランドに負けたというニュースを聞いて、どんな強豪チームでも足元をすくわれる事はあるんだよなと再認識。

ただ、実際に試合を見てみると前半26分頃にロッベンが内転筋を痛めて負傷交代、そして31分にマルティンス・インディが報復行為で一発退場、そして後半にはアイスランドにPKと、ホームの試合であるにも関わらず全ての流れがオランダに対して裏目に出てしまった試合だったと言える。

マルティンス・インディについては、ロッベンやブリント監督から厳しい言葉が投げつけられているが、実際には殴ったというよりは手で払いのけようとしたのがチョップみたいな形で相手の首筋に入ってしまい、それを副審が目の前で見ていて旗を振られたような感じで、ちょっと悪者にされてしまうのは気の毒な気がする。

オランダは数的不利になってもボールを支配して攻め続けるのだが、4-4-2のゾーン・ディフェンスで守るアイスランドをなかなか崩せない。

アイスランドはゾーン・ディフェンスとしては非常にオーソドックスなスタイルなんだけど、4-4の間が3mぐらいしか無いぐらいに極めてコンパクトで、サイドはSBのオーバーラップに対してもマークを受け渡さずきっちり食らいつく守備でオランダのサイド攻撃を封じ続けるなど、全員が労を惜しまず組織のために全力で体を張っていて、さすがにグループ首位は全くフロックじゃないなと舌を巻くハードワークぶりだった。

そして攻撃でも、アイスランドはコレクティブなカウンター戦術が浸透しており、ゾーン・ディフェンスの定石通りにボールを奪ったら高い位置に上がったファーサイドへすぐさまサイドチェンジ、ファーの位置が低ければ真ん中を素早いポストプレイとドリブルで突破するなど、とにかくボールを前進させる動きに淀みが無い。チーム全員が前への意識を持っているので、例えカウンターの途中でボールを失っても、すぐに後ろからフォローが入ってピンチを作らせない。こういう姿勢は是非日本も見習うべきだろう。

後半途中からはさすがにアイスランドの勢いが落ちてオランダがボールを支配するようになる。そこは腐ってもオランダ、DFラインでのビルドアップのパススピード、サイドチェンジの正確性は日本よりも数段上で、数的不利ながらSBのオーバーラップを使ってサイドの高い位置で基点は作るのだが、この試合はそこからのクロスやミドルが上手く合わなかった。ただ、スピードのあるクロスやミドルが飛んだ時はおっと思う事が多かった。

日本は引いた相手を崩すのに、中でのワンツーやふんわりしたクロスを上げてしまう事が多いけど、ワンツーはともかくとしてクロスやミドルについては、もし受け手との呼吸が合わなくても、とにかくスピードのあるボールを蹴る事が重要な気がする。そうすればカンボジア戦での本田のミドルが決まったような”アクシデント”が起こる可能性も高くなるはずだ。次のアフガニスタン戦は、そういう強いベクトルを持った日本であってもらいたいね。