「接戦だからこそ分かる、Jリーグに求められる課題」Cygames presents Special Match サガン鳥栖-アトレティコ・マドリード

ガンバとリーベル・プレートのスルガ銀行チャンピオンシップは、スカパーの申し込みの手違いでフジNEXTが予約できておらず、昨日は以前に録画しておいたサガン鳥栖とアトレティコの親善試合を見てみた。

チームの力量的には当然ながら段違いの差がある相手ではあるが、アトレティコがさすがに夏の日本遠征でペースがフルパワーというわけではなかったのと、藤田が韓国戦でアンカーとして活躍出来ていたように、鳥栖も守備時には4-5-1のゾーンをしっかりと組んで守っていたため、アトレティコもなかなか鳥栖の守備を崩せずスコア的には1-1のドローで終了、決着はそのままPK戦に持ち込まれてアトレティコの勝利となった。

一応は90分間の結果としてはイーブンではあったわけだが、それだけにJリーグと世界との小さいようで大きな差というものがはっきり見えた試合だったように思う。

まず、アトレティコの選手はボールを奪って前にスペースがあったら躊躇なくドリブルを開始し、相手選手がマークに寄せて来る前にクロスなりシュートなり攻め切る意識が非常に強い。これが日本選手なら、何となくおずおずとドリブルを始めてみて、少しでも前を塞がれたらスピードダウンし、一生懸命パスコースを探して見つからなければ後ろを向いてバックパス、というのがお決まりのパターンである。

ハリルホジッチが「縦に速いサッカー」と言い過ぎて、北朝鮮戦では縦パスと動き出しばかりの慌ただしいサッカーになってペースダウンしてしまったが、速いサッカーはパスだけじゃなくてドリブルも含めての話しであって、途中で下手にスローダウンしてパスをカットされるよりも、そのままドリブルで持ち込んで攻めるほうがリスクが少なく、相手の守備陣形も崩れやすい。

逆に鳥栖の攻撃はやはりパスが主体になってしまうため、同じように守備時には4-1-4-1の完成度の高いゾーン・ディフェンスを敷くアトレティコの守備に対してクリティカルなパスが出せず、たまにバイタルにボールが通ってもあっという間に寄せられてほとんどシュートまで持ち込めさせてもらえなかった。

代表でも、ゾーン・ディフェンスがちゃんと機能すれば、両ウイングは高い位置でボールを受けることが出来るわけで、実際には全然ダメダメだったわけだが、本来のハリルホジッチの狙いとしては、宇佐美が高い位置で基点になり、永井はそのままドリブルでぶっちぎるためのウイング起用だったはず。

鳥栖が83分に決めた同点ゴールも、途中交代で入った田村亮介がマークに付いていたヘスス・ガメスをドリブルで振り切ったクロスを決めたもので、やはりそういう意味でも、こういったパスで速いのではなく”個人で速い”攻撃をどれだけ増やせるかがJリーグ勢に求められるポイントだろう。