「スタジアムはクローズドだけど試合はオープンとはこれいかに」EURO2016予選 グループH クロアチア-イタリア

世間は女子W杯やコパ・アメリカで盛り上がってるけど、昨晩は無観客試合という状況に興味を引かれたので、ユーロ予選のクロアチア対イタリアの試合を見た。

試合後に噂になっていた、ピッチ上にハーケンクロイツ様のマークが書かれていたのはさすがにテレビからは分からなかったが、モドリッチやラキティッチ、コヴァチッチといったキラ星のような中盤を並べる代表チームに比べてサポーターの質の落差が本当に際立っていて、オシムじゃなくてもバルカン半島の闇の深さにめまいがする思いだ。

さてそんな異常な状況とは裏腹に試合自体は実にオープンで、試合開始直後に右サイドを突破したスルナがアストーリに倒されてクロアチアがPKを得るものの、マンジュキッチのキックはあっさりブッフォンに弾かれる派手なオープニング。

そして11分にカンドレーヴァのクロスをファーで合わせたエルシャーラウィのゴールが微妙な判定でオフサイドとされると、イタリアの選手が抗議中に試合はリスタート、逆にクロアチアがラキティッチからのクロスをマンジュキッチが今度は決めてリードする。

しかしイタリアも好調カンドレーヴァを中心に攻撃を繰り出し、35分にマンジュキッチが思いっきりハンドをかまして得たPKを、カンドレーヴァがピルロばりのクッキアイオで決めて同点に追いつく。

後半はどちらにも中盤にスペースが生まれ、互いにカウンターからシュートチャンスを作るものの、イタリアはエルシャーラウィが2度も決定機を外すなど得点力を欠き、試合はそのまま1-1のドローで終了。グループHは1位クロアチア、勝ち点2差でイタリアという順位は変わらずがっぷり四つのまま。

決定力不足そ無観客で印象としては締りのない感じにはなってしまったが、中盤のクォリティはどちらも非常に高く、特にシンプルにダイレクトでパスをつなげる場面と、前にスペースがあればグイグイとドリブルで進む判断のバランスはさすがだった。日本もパスによるスピードアップは意識付けされつつあるが、個人でマークを剥がすドリブルの部分を、香川や柴崎らがもっと追求して行く必要があるなと思わされた試合だった。