日本人のウインガーが欧州で活躍できない理由

12月に入ると忘年会や何やらで忙しくなって来るもので、昨日も飲み会があって夜はサッカーを見られずじまいでした。若い時なら、多少酒が入っていても試合を見られたのですが、最近は本当にすぐ寝落ちしてしまっていかんですな・・・

ではニュースからネタ探しと見てみると、ACLの組み合わせ抽選会やチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの決勝トーナメント出場チーム確定、ネルシーニョ監督の神戸就任と結構大きな話題があったりしますが、個人的に注目というか少々残念なニュースなのが、VVVフェンロから大津祐樹選手が古巣の柏に復帰した事ですかね。

日本人にしては比較的フィジカルとスタミナがあって、欧州の選手相手にもゴリゴリとドリブルで突破できるスケールの大きなウインガーとして期待された選手で、ロンドン五輪で活躍してまさにこれからと思っていた矢先のアキレス腱断裂という大怪我。それ以来、調子が上がらないまま沈んでしまいましたからね・・・宮市もそうですがドリブラーが怪我をすると本当にプレイへの影響が大きいですよね。

他に日本人のウインガーとしては田中順也や原口らが欧州移籍を果たしていますが、残念ながら攻撃的なサイドのポジションで今のところ完全レギュラーと呼べるのは本来トップ下である本田だけというのは皮肉と言うしかありません。その理由としては、昔と今ではウインガーに対する要求が変わって来ている事が大きいのではないかと思っています。

かつてのウインガーと言えば高速でサイドを突破して中にクロス、というのが典型例だったのですが、戦術が進化して中央のディフェンスが堅くなった事で真ん中の選手が自由にプレイできなくなった代わりに、サイドの高い位置で基点を作ってからドリブルだけでなく中を使ったパス、そしてカットインからのシュートと、よりパワーや高さ、判断力といった高い総合力がウイングに求められるようになり、今やクリロナやロッベンを代表格としてかつてのトップ下から花形ポジションを奪った感があります。

そこまで1対1を制して得点を取るほどの才能がない選手の場合は、SBやボランチと連携していかに相手のマークを剥がしてサイドのスペースを使えるかが重要になります。そこで必要になるのがポジショニングとコミュニケーションなのですが、残念ながらそこは日本人選手が最も弱いところです。

日本では守備の選手でさえまともにゾーンディフェンスの訓練を受けていないのに、攻撃の選手となると壊滅的です。それでもまだコミュニケーションが取れれば監督やチームメイトからアドバイスを受けられるのでしょうが、語学力が無ければどうしようもありません。乾がフランクフルトで復活しつつあるのは、長谷部によるコーチングが相当な効果を発揮しているおかげだと思います。

J2に降格したセレッソからは南野選手が欧州移籍をするのではないかと言われていますが、ポジションごとに監督から求められているプレイを正確に理解する事とコミュニケーション、まずはそこをきっちり克服することを目指して欲しいものです。