「谷間の起用とはいえ残念な内容」スイス・スーパーリーグ第5節 FCバーゼル-ザンクトガレン

ここまで開幕から4連勝と順調に勝ち点を積み上げていたバーゼルだったが、ザンクトガレンとの試合では何と1年ぶりとなるホームでの敗戦というまさかの結果になってしまった。

ミッドウィークでの開催とあってか、エースのシュトレラーが病気のため大事を取って欠場、ここまで3得点と好調のガシをサブに回し、柿谷を1トップにしてDFを4バックにした3-4-3という布陣を試してみたというところだろうが、これがやはり裏目に出てしまった。

前から、相手が守備的に来た場合のビルドアップが下手だなという印象は持っていたのだが、さらにロングボールのターゲットとなるシュトレラーが不在になった事で、攻撃のスタートがWBへのフィードしか無くなり、序盤こそサイドから柿谷の飛び出しに合わせる形をいくつか見せたのだが、相手が対策してくるととたんに攻め手が無くなってしまった。

仕方なく、3トップの左右にいるズッフィとデルガドが中央に寄ってポストプレイをこなすのだが、そのために柿谷の周りにスペースが無くなり、WBが孤立してサイドでコンビネーションが作れず、ポストプレイをしても柿谷にリターンは来ずにボランチからまたサイドにドカーンと振るだけなので、余計に柿谷にはボールが来なくなるという悪循環。

それでもチームメイトから無視されているというわけではなくて、一応サイドの高い位置やバイタルで味方が前を向けた時は、柿谷のライン裏への飛び出しに合わせようという姿勢は見られたのだが、パスのタイミングが合わなかったり、柿谷自身のトラップミスやオーバーヘッドの目測ミスでチャンスを活かせず、後半にようやくPA内でのターンからシュートを打つものの体を回しきれずにゴール正面と、やや期待を裏切る試合になってしまった。

後半16分からは、あのギリシャ戦でロスタイムにPKを与えたコートジボワールのシオが投入されて柿谷と2トップになったのだが、シオ自体は終始セルフィッシュなプレイでコンビネーションは皆無だったものの、柿谷は彼の周りを衛星的に動いてボールを触れるようになったので、今のところは1トップよりもトップ下や2トップで使われるほうが良いかもしれない。

全体的には終始バーゼルのペースで、ザンクトガレンにいくつかカウンターのチャンスはあったものの、さほど個人能力や決定力に長けた選手はいないと思っていただけに、どちらもつまらない守備のミスから失点してしまったのも残念である。週末の試合できっちり切り替えて立て直して欲しい。