「策士ネルシーニョの術中ではあったのだが」J1第7節 川崎フロンターレ-柏レイソル

次週にACLがあるために前倒しの金曜に行われた川崎対柏。今年は開幕から旋風を巻き起こしている風間”ペップ”サッカーに対し、策士ネルシーニョがどういう手段を取ってくるかが楽しみな試合。

で、ネルシーニョが選んだのは「イタリア式3バックプロビンチアサッカー」。つまり、相手ボールになるとWBが下がってほぼ5バックのような形になって前線とサイドのスペースを消し、中盤の選手は相手の2列目以降から飛び込んでくる選手を忠実にマーク。そしてボールを奪ったら、相手の攻撃参加で出来たスペースに選手を走らせてカウンターを繰り出すというもの。

で、それが当たって前半は川崎の攻撃があまり機能せず、逆にレイソルは5分に中央突破からのこぼれ玉をレアンドロが決めて先制点を奪う理想的な立ち上がり。その後も、レイソルは川崎のカウンターに対する守備の甘さを突いて何度も良い形を作るのだが、結局ラストパスなど最後の場面でミスが多く、追加点を取れなかった事が響いてしまった。

後半から川崎は稲本を入れて中村憲剛をトップ下に移し、62分にはパウリーニョに代えて金久保を投入。これで2列目から前のパステンポが向上し、トップ下の中村が柏の3バックの横のスペースや、開いたバイタルにどんどん入り込んではパスを回し始め、柏の守備対応が後追いになって試合は川崎のペースになって行く。

そして73分に、川崎は森谷のドリブルから中村憲剛が相手の股を抜く技ありのスルーパスを出すと、これに反応した山本真希がゴールへ流し込んで同点。そこから試合は一気に流動的になり、中盤がスカスカになって互いにゴール前での攻防が増えるのだが、どちらも何度かあった決定的な場面で得点できず、試合はそのまま1-1のドローで終了。

全体的には非常に見応えがあった好ゲームではあったが、せっかく何度も良い攻撃をしてもラストパスやシュートが残念なところがやっぱりJリーグだなと、チャンピオンズリーグの試合を見た後だとなおさら世界との差を痛感してしまった。

ブラジルW杯の代表選考を控え、大久保や中村憲剛といったベテランに注目が集まっているが、そういう観点で見ると大久保が海外組の2列目メンバーよりも優れているかというと正直微妙なところで、起用した場合のメリットが分かりやすい中村のほうが可能性は高いのではないかと思う。大久保に完全バックアップでもチームを盛り上げられるメンタルがあれば別だが、その辺はどうなんだろうね。