「イタリアサッカーもJリーグと似た悩みがあるのでは」イタリア・セリエA第30節 インテル-ウディネーゼ

共に毎年上位に来ている名門ながら、今期はいまいち調子に乗れない両チーム。しかし結果は0-0のスコアレスドローながら、完全3-5-2のマッチアップで全てのポジションでガツガツと激しい1対1が繰り広げられる面白い試合になった。

前半はウディネーゼの中盤でのプレスとカバーの素早さ、コンビネーションが素晴らしくてインテルのエルナネスやグアリンに全く仕事をさせず、長友も対面のヴィドマーが完全マンマークで抑えこみ、逆にウディネーゼがインテルのミスから2~3度決定的なカウンターをお見舞いするという苦しい展開。

しかし後半はウディネーゼのプレスが緩み始め、ヴィドマーも長友に付いて行けない場面で多くなり、長友のクロスからパラシオのヘッド、イカルディのGKに当たるシュートなどの決定機を何度も作るのだが、ウディネーゼの守護神、わずか17歳というスクフェットが素晴らしいポジショニングと反応で防ぎ、長友と交代でミリートが入った後の87分には、カンビアッソの強烈なシュートとダンブロジオのヘディングという決定的な2連発を防ぎきるという驚異的なスーパープレイで阻止し、スコアレスドローで終了。

パラシオがヘディングを外した場面で、地面のペットボトルを加えて悔しがったマッツァーリ監督の姿が話題になっているが、インテルはそこそこ良いプレイはしたけど運も無かったし、何より相手のGKが素晴らしかった。怪我から復帰した長友も、終盤は足に張りが出て交代はしたが終始自信に満ち溢れたプレイぶりで、突発的なケガ以外はW杯に不安は無さそうで安心。

ただ、最近のセリエAはこの試合のように、3-5-2同士でガチガチにマークし合うセメントマッチのような内容がほとんどなのが気にかかる。相手の良さを消すという意味では高度に発達しているが、あまり経験や研究が及んでないチームや選手にはその強みが生かせておらず、逆に自分たち攻撃能力を押し出す事に慣れていないという点が、欧州カップ戦でイタリア勢がいまいち振るわない原因になっているのではないか。

そういう意味では、アジアのフィジカルやスピード、悪ピッチ、ラフプレイを容認する判定で普段のパスサッカーが粉砕されてしまうJリーグと同じ、ガラパゴス化の問題をイタリアも抱えていると言えるのかもしれない。