「もともとザックに勝負をしようという気は無かった」キリンチャレンジカップ 日本-ニュージーランド

日本が最初の17分間で4点を奪った後は無得点で、逆にニュージーランドがその後に2点差まで詰め寄られた事で、いつもの様にご意見番殿を始めとしてネット界隈では皆さん相当なお怒りのようだが、いい加減あのお方に国家騒乱罪を適用してくれないだろうか(笑)。

と言いたくなるぐらい、このニュージーランド戦に関しては単なる公開練習試合であり、代表メンバーに対して今年はW杯があるんだぞという事を思い出させるアラームのような意味合いに過ぎないと思っている。

早めに合流した香川と、体内時計が存在するのかどうか怪しい岡崎と長友を除けば、大迫や清武、本田、細貝、吉田、両酒井といった直前合流の海外組のコンディションが最悪なのは分かりきっていたし、国内組もリーグがスタートしたばかりで試合勘不足、それで試合の序盤に4点リードと来れば、そりゃ集中力が欠けてしまうのは当たり前である。だって「にんげんだもの by みつを」。

そしてザックの選手起用も完全にテストと割り切っていたのがはっきり見て取れた。つーか、ザック自身が「フレンドリーマッチはテストの場」と試合後の会見でも言い切ってるし、アジア三次予選のアウェイ北朝鮮戦や最終戦のウズベキスタン戦、そしてコンフェデでさえテストの場としていたザックにとっては、ご意見番を始めとする瞬間湯沸器な皆さんの存在が信じられない事だろう。

今回のテストでの最大のポイントは、本番での長谷部の不在を想定したボランチの起用法だった事は間違いない。そこに、ザックが青山と山口のコンビをスタメンで抜擢した事にまず驚かされた。

青山が遠藤の代役である攻撃的ボランチ、山口が長谷部の代役である守備的ボランチという役割自体は間違ってないが、今回招集されたメンバーとの組み合わせでは、青山+細貝、遠藤+山口のほうが適しているはずで、実際に後半から出場した遠藤と細貝は、どちらも本来のポジションから動き過ぎてバイタルをがら空きにさせる事が多くて組み合わせとしては最悪であった。まあ、香川や本田も基本どっか行ってたので彼らだけを責められないが・・・

青山と山口の前半も、4点を取ってからは山口が3バックのような位置まで下がってSBを使ってのビルドアップをしていたが、それは本来青山が得意とするプレイなはずで、青山も前目にはいたが遠藤のような早いタイミングでの縦へのダイレクトパスよりも無難な散らしが多く、緩急を付けるというところまでは出来ていなかった。

ザックの場合、香川の左サイドや岡崎の1トップ、大迫のトップ下など、本来のポジションならちゃんとやれる事を分かった上で、あえて普段とは異なる役割を与えて何が出来るかを図っているフシがあり、100%の力を発揮できない事は織り込み済みだっただろう。

そんな試合なので収穫云々も無いのだが、あえて言えば齋藤と豊田は今までの試合に比べるとすんなり入り込めたかなと。乾が不調を囲っていてハーフナー・マイクが構想外になりつつあるため、彼らが本番で選ばれる可能性はかなり高くなっているだけに、そこは嬉しい部分だった。4月に国内組を集めての合宿があるらしいが、そこでもう一段ザックをうならせる動きを見せて欲しい。