「長友、誤審でドッピエッタならず」イタリア・セリエA第19節 インテル-キエーヴォ

ホームにキエーヴォを迎えたインテルは、試合開始8分に先制点を奪われながらも13分には長友が右からのクロスに鋭く左サイドから飛び込んで同点に追いつき、その直後にも自ら蹴ったショートコーナーからオフサイドラインをかいくぐって2点目を決めたに見えたが、明らかな誤審でオフサイドを取られ、そのままインテルは追加点を上げること無く1-1のドローで終了。

インテルはクリスマス休暇明けからの3戦で1分2敗。しかもその3戦で取った得点が長友の1点と、ミラノダービーの前は点が取れていても失点が多かったのが、今度は深刻な得点力不足に陥ってしまった。

その最も大きな原因はパラシオの不調。この試合でも先発はしていたのだが、前半に訪れたフリーでのヘディングチャンスは枠に飛ばせず、その後も彼らしくないキックミスなどで好機を潰す機会が多かった。後半20分からミリートが登場して2トップになったが、ミリートは足元すらおぼつかない模様でまだ全然戦力にならずという有り様。パラシオはここまで1人でインテルの得点を支えてきたようなものなので金属疲労は仕方ないとは言え、その代わりになる選手が誰も居ないのではどうしようもない。

そして中盤も攻守のバランスが悪い。コバチッチはあちこち動きまわってボールに触るのはいいけれど、やたらとこねては難しいスルーパス狙いが多く、クズマノビッチは悪くないけど単なるバランサーなので攻撃には役立たず、アルバレスは基本的に足元で受けてナンボの選手なので、結局中盤から前線に飛び出せる選手がアンカーなはずのカンビアッソしかおらず、遅攻ばかりでキエーボの堅守を崩す事ができなかった。

唯一好調を維持しているポイントが長友とジョナタンのサイド攻撃。特に長友は、幻のドッピエッタだけではなくてボールを持った時の選択肢が以前に比べると向上しており、縦を切られていても中へドリブルで切れこんで崩してみたり、右足で縦パスを通してみたり、何故かピタリと足に吸い付くトラップでサイドチェンジからの基点になったりと、完全に攻撃面でインテルのキーマンになっていた。ただし左足のクロスはいまいち。レアルでレギュラーになるためにはそこが必要かもね(笑)。

とまあチームはこの惨状だが、人材不足が深刻なだけでマッツァーリ監督のチーム作りはブレてはいないのがせめてもの救いか。インテルの新会長に就任したトヒル氏は、あえて性急な補強は行わずにクラブのボロボロな財政を健全化する事を優先するようなので、今期は我慢しながら若手を戦術通りに働けるように鍛える事に専念すべきなのだろう。