Jリーグはスポーツなのか、祭りなのか

最近まで全く日にちを知らなかったんだけど、どうやら昨日はハロウィンだったらしく、渋谷センター街などでは仮想した人が大挙して大変だったそうですね。

ハロウィンは、もともと11/1は古代ケルト族にとって年が変わる日であり、その前日はお盆のように死者が蘇ってくると信じられていたんだけど、それと同時に悪霊なども呼び寄せてしまうので、撃退するために仮面をかぶって脅かす風習が起源だったそうだ。しかしそれが仏教徒がほとんどである日本人と何がつながっているんだろうと思ってしまいます。

日本はクリスマスにケンタッキーフライドチキンを食べたりしますが、もともとは米国に渡った清教徒が開拓期の飢えの中で迎えたキリストの生誕祭に、野生の七面鳥を食べて祝ったのが起源とされ、チキンは形が似ていても別物だし、そんな聖なる食事にファストフードとは、本来の意味から二段階も飛躍してしまっているわけですよね。

まあ、それを言い出せばハロウィンで大騒ぎをしているアメリカ人がそんな事を考えているかは非常に怪しいわけですが、それでも彼らは宗教的なバックグラウンドが少しでも無いと社会から非難を浴びるリスクがあるわけで、異教徒の祭りを自ら開催する事はまずあり得ません。

日本人は・・・とレッテル張りする事は好きではありませんが、やはり良くも悪くも本質的な部分をあまり鑑みずに祭りを楽しんでしまう性向が強い国民性なのではないかと思います。

さて昨今のJリーグはと見ると、観客動員はジリ貧でどこのクラブも経営はギリギリ、それどころか今回のアビスパのように経営危機に陥るクラブは後を絶たず、有望選手は皆海外移籍を果たしてしまうなど、さっぱり良いニュースが上がってきません。

ここまでJが斜陽になってしまっている原因の1つは、「祭り」成分の少なさにあるのではないかと思っています。例えばアクセスが悪くて老朽化した見難い陸上スタジアムに少ない観客、チームが弱くてJ1昇格など夢のまた夢の連敗ばっかりだと、コアサポーター以外にとっては祭り要素、つまりウキウキした楽しい非日常を感じる瞬間などどこにもありません。数少ない支援スポンサーはほぼタニマチと化しています。

そんな状況の中で、Jリーグ側は放映権料削減の影響をカバーするために、2ステージ制にするという案を出してサポーターから総スカンを食っている状態ですが、これはお金の問題だけではなくて、少しでも非日常な祭り要素を増やそうとしている側面もあるのだ、と考えればある程度納得がいく話です。昇降格がかかった試合だと普段はガラガラのスタジアムが満員になる事が珍しくないですが、そういう効果も狙っているのでしょう。

確かに、競技スポーツとして成績が結果に正しく反映されないのはおかしいですし、長期的に見れば日本サッカーにとってマイナスの影響を与える可能性はあります。プロ野球12球団中6チームがクライマックスシリーズに出場するため、ペナントはほぼ形骸化してスポーツ的には意味の薄い存在になりつつあります。箱根駅伝なんかはそれだけが突出した人気になっているために、陸上長距離の有力選手は全て関東の大学に集まり、駅伝の練習ばかりでちっともマラソンの強化には繋がっていません。バレーのガラパゴスぶりに至っては語る気すら起こりません。

Jリーグ発足から20年、日本にクラブスポーツを、本物のスポーツ文化をという理念は残念ながら世間の支持を得られずに頓挫しつつあります。が、理念に殉じてJリーグが死んでしまう事を考えれば、祭りに方向性を向ける事は必ずしも悪いことではありません。大事なことは、あくまで手段と目標を間違えない事。祭りという手段を使いつつも、サッカー文化を広める、ワールドカップを取るという目標に向かうよう、常にPDCAサイクルを怠らない事が肝要だと思います。

ぶっちゃけ、2ステージ制もやってみてダメだったら変えれば良いんですよ。茹でガエルよりも「やってみなはれ」の精神じゃないでしょうか。