「負けてなお強しのヘルタ」ドイツ・ブンデスリーガ第10節 バイエルン・ミュンヘン-ヘルタ・ベルリン

一時は得点力不足でブレーキがかかったものの、ここ3試合は再び調子を取り戻して4位という好順位につけているヘルタ・ベルリン。この試合でも絶対王者のバイエルンに対して2-3とあと一歩まで追い詰める活躍を見せた、と言うか非常にもったいない、十分ヘルタが勝てた試合だったと思う。

バイエルンの戦術は4-1-4-1だと言われているが、今節のマインツのような純粋なそれではなくて、今流行の(?)攻撃時と守備時で形が変わる戦術で、マイボールの時にはSBと1ボランチが3列目に並んだ2-3-4-1のような形になり、後ろ5人のビルドアップから前の流動的な5人の選手に対してショットガンのように縦パスを入れて来る。そして前の5人は非常にワイドな位置取りをする上に、リベリとロッベンという稀代のドリブラーが両翼に待ち構えているので、相手は組織で守る事ができずに常時1対1のリスクに晒されてしまう。

しかしヘルタもそんな圧倒的なバイエルンの攻撃力にしっかり立ち向かい、守備時は4-4-2のコンパクトな3ラインディフェンスでスペースを作らせず、細貝とシェルブレットのダブルボランチがバイエルンのボールに対してプレッシャーをかけ続け、10分にはベン=ハティラのロビングシュートがクロスバーに当たるなど、切れ味の鋭いカウンターから何度か決定的なチャンスを作り出していた。

そしてヘルタのプラン通りにセットプレイから先制点を奪ったのだが、前半30分にリベリのタイミングを外したFKで中央の守備がボールウォッチャーになってしまいマンジュキッチに決められると、後半6分には細貝のファールからまたもマンジュキッチが頭でゴールと、守備を崩されたわけでもないのに逆転を許してしまったのが残念だった。

ただし悲観する必要な全く無い。少し前までは迷走気味だったボランチの起用法も、セットプレイのキッカーを務めるなどパス精度の高くて展開力があるシェルブレットと、早いタイミングでショートパスを繰り出す細貝とで上手くコンビネーションが取れて安定感が出て来ているし、何よりマインツと違って戦術が一貫しているので選手のプレイに迷いが無い。古巣レヴァークーゼンとの勝ち点差は大きいけど、少しでも3強に食らいついて行ければだね。