「スタメン盤石の代表で下克上なるか」ドイツ・ブンデスリーガ第8節 ハノーファー96-ヘルタ・ベルリン

ハノーファーのホームで1対1のドローに終わったこの試合、今回の代表欧州遠征で選ばれている細貝と酒井宏樹が先発したという事で、彼らのプレイを中心に見てみた。

ヘルタはロニーがサブに回って前節に2得点を挙げたアラギが先発、細貝の相棒にはチゲルチじゃなくてシェルブレットが入ったのだが、これが最近の布陣と較べて全体的にまずまず機能できていた。

特にシェルブレットはチゲルチほど上がりっぱなしではなく、細貝とのバランスを考えたポジショニングができるので、細貝がイキイキと猟犬ぶりを発揮してガッツリと相手選手に食い付き、前半はハノーファーのパスワークに翻弄され気味ではあったが、徐々に守備のリズムが整い始めて後半にはヘルタのペースに持ち込む原動力になっていた。

ただ、やはり現代的なアンカーに求められるCBのカバーリングでは不安定な面を見せ、ハノーファーに与えた1失点は細貝のゴール前でのクリアミスが原因であり、それ以外にもヘディングが短くなってクリアにならなかったりと、DFとしては危機管理がお粗末な点も露呈してしまった。

特に代表ではDFラインメンバーの身長が低く、クリア能力の面では世界レベルに比べると劣るので、細貝や長谷部らボランチがその部分をカバーする必要があるため、クラブでのこういったミスは出来るだけ無くす方向に努力しないと、ブラジルW杯本大会でもなかなか失点は減っていかないだろう。

そういう意味では、ザックが酒井宏樹を評価するのはとても理解出来るわけで、長友や内田が「相手を遅らせる守備」がメインにならざるを得ないのに対し、酒井はリーチとフィジカルで「ボールを奪う守備」が出来る強みがある。そしてCBの位置に入っても身長でクロスを跳ね返せるし、日本の守備の弱点が彼1人で結構カバーできてしまう。

ただ、この試合でもスパッと裏を取られたシーンがあったように、スペースを埋めて相手を前に見ている状態だと安心出来るのだが、いったん高い位置に上がってから背中を向けた状態での追い込み方やポジショニングに難があり、SBが攻撃的な位置を取る事が多いザックの戦術ではまだまだ不安が大きい。

それは酒井自身も理解しているのか、ハノーファーでSBとして先発するようになってからはオーバーラップを自重する姿勢が目立ち、持ち前のダイナミックな攻め上がりがめっきり減ってしまっているのが残念なところである。そういう意味では、まだまだ右SBは内田のほうに分があるのは間違いない。

とにかく、現在チームでコンスタントに使われるようになった彼らが代表にどんな刺激をもたらすのか楽しみである。