「柿谷は代表と海外で成功できるのか?」J1第24節 セレッソ大阪-川崎フロンターレ

夏休み最後の試合となった長居での試合は、何と3万人超の大観衆となった事にまず驚いた。
元セレッソのエースだった大久保の凱旋という点もあるが、ちょっと前までは、大都市かつアクセスが良くて専用じゃないけど急傾斜で見やすいスタジアムという好条件にも関わらず、観客動員がなかなか伸びなかったセレッソが、柿谷と山口が代表入りして東アジアカップで活躍したとたんにブレイクしてしまった。
それだけ、プロスポーツという興行にはスターが必要で、それによってメディアの扱いも飛躍的に上昇するという好循環が回り出すという完璧な事例になってしまった。ただし、それはJリーグ単体では不可能で、代表か海外で活躍するかしかスターを作り出す術は無いんだけどね・・・
特に柿谷に対しては、最近も海外のスカウトからも熱視線を浴びている記事が出て、実際にニュルンベルクやイタリアから複数のオファーが届いているという話が出ているけど、個人的には行くとすればイタリアぐらいで、ドイツの中位以下のチームに行くぐらいならJリーグに留まってJリーグの人気を高めて欲しいと思っている。
ドイツは、1トップにはまずポストプレイとヘディングが出来る屈強な選手が求められるし、サイドは1対1での守備対応と自陣と敵陣を往復する運動量が必要とされるので柿谷には明らかに向いてない。じゃあトップ下はどうかと言うと、ドルトムントのような特殊なチームを除けば、これもまたフィジカルと運動量が優先されるので、課題としては同じになってしまう。
イタリアは、ザックの惚れ込みぶりを見れば分かる通り、ああいうファンタジスタ系の選手が本来は大好きで、そういう才能を活かして他の全員が奉仕するチームを作り出すことを厭わない。逆にドイツは、ファンタジーよりもまずは献身性と戦う姿勢が求められるので、柿谷のように消えている時間が多い選手は、得点が取れないとあっという間に批判の対象になってしまうだろう。
でもまあ、消えている時間が多いというのはどこに行こうが好ましい話ではない。そういう観点でこの試合を見ていたのだが、まず感じたのは裏へ飛び出したり中盤でボールを受けたりという大きな動きはあっても、香川のように常にフリーになれる位置を探してポジションを修正する小さな動きが足り無いなと。トラップとターンの技術は香川以上の物を持っているのだから、スペースで受けるスキルを磨けば、もっと存在感は上がるはず。
まあ、それは柿谷だけの問題だけではなくセレッソというチームにも原因があって、エジノは球離れが悪くて精度の低いミドルばっかりだし、枝村はスペースメイクと守備では目立つが、ボールを持って何か違いを出せる選手ではない。その辺は、ワンタッチや意表を突くパスでクリエイティビティを生み出せる中村憲剛がいる川崎との違いを痛感させられてしまった。
セレッソではなかなか鍛えられそうにないオフ・ザ・ボールの意識について、代表選手と交わることで向上させていける事ができるのか。そのあたりが、柿谷にとって今後の活躍の鍵となりそうだ。