「劣勢だからこそ輝く柿谷の決定力」東アジアカップ 日本-韓国

既にゲップが出るまで柿谷のゴールシーンを見せてもらった韓国戦を、日曜は寝落ちして最後まで見られなかったので、昨日は改めて最初から見てみた。
おそらく、生で見ていたらひたすら嬉しくて戦評も万々歳で終わらせていたと思うけど、正直なところ1日経って見ているとやはりそんなに手放しでは褒められない試合だったかなと。
確かに良かった点も多かった。中国戦に比べるとDF陣の距離感や関係性が向上し、サイドからのクロスに対して常時3~4人がゴール前に並んで飛び込んで来る韓国の攻撃に対し、背後を簡単に取られないようなポジショニングが出来ており、山口のカバーリングも効果的だった。西川も豊田がかろうじてクリアした後半ロスタイムのかぶり以外は、ハイボールに対して集中した判断が出来ていた。
とは言え、日本が攻撃のリズムをつかんだ時間帯は後半開始からの10分ぐらいで、あとはほとんど自分達でボールを持てなかったのは厳しいと言わざるを得ない。その大きな理由は、やはり前線でのキープ力不足。DFラインが押し下げられてしまうのも、日本が前線でラインを上げられる時間を作れなかった問題が大きい。
柿谷は一応パスコースを切る仕事はするけどもチェイシングの域からは程遠く、原口は不用意な飛び込みで交わされる場面が見受けられ、高萩はピッチ状態のせいもあるのかキックミスを連発、青山は柿谷の先制点につながるパスはあったものの、誰もいないのに適当に前へと蹴り出すパスがあまりに多すぎた。
日本は押されていたけど崩された場面は少なかったと言う論評が多いが、単に押されていたのでDFラインの裏にスペースが出来なかったわけでもあり、相手が韓国だから1点で済んだものの、ブラジル相手にこんなポゼッション放棄をしたら5点は間違いなく取られてしまうだろう。そういう意味では、豊田や大迫をもうちょっと早い時間に投入して、彼らのポストやキープ能力を見てみたかった。
逆に言えば、そういう試合内容だったからこそ、柿谷の冷静なシュート能力が改めて光るわけだが・・・2点目のGKの動きを予測したファーへのシュートはもちろんの事、1点目も一見すると簡単なように見えるものの、ヘディングでボールを前に落とした後で濡れたピッチでボールが不自然に減速しており、GKの動きとボールの動きを両方判断して流し込む難易度は相当なものだったと思う。
柿谷には既にドイツやイタリアからオファーが来ており、これからさらに周囲が騒がしくなるだろうが、下手にそういう国に行ってしまうと宇佐美のように欠点ばかり論われる事になりかねない。可能であればオランダあたりで、まず彼の良さを引き出せる指導者に巡り合えたらあるいは、という感じかな。