「澤、宮間後のなでしこ」女子国際親善試合 イングランド-日本

澤の故障と宮間の出場停止という事情があり、図らずも飛車角落ちという苦しい体制で臨まざるを得なくなった日本だったが、ホームのイングランドに対して何とかドローに持ち込む粘りの試合を見せた。
わずか6900人収容の、バートン・アルビオンという4部リーグに属するチームのホームスタジアムを埋めた観客の声援を受けて、ひたすらハイプレスで押してくるイングランドに日本は非常に手こずった。
特に、日本は澤がいないとボランチから長いボールが出て来ないので、どうしてもパスの繋ぎに前線の楔が必要になるため、イングランドはそこに対して激しくプレッシャーをかけ、ポストから戻すボールに対してもサンドイッチをかけに行き、日本は本来のパスワークを完全に封じ込められた。
ただ、イングランドの選手がマンマークに移るタイミングが早いために、日本の前線がサイドに流れてスペースを作り、そこにボランチの位置に入った熊谷や、SBがシフトして上がって来た動きにパスを合わせた時にはチャンスが作れていた。が、前半途中からそういう良い流れが続いても得点出来ず、流れが切れた頃に裏への飛び出しを捕まえきれずにやられてしまった。
イングランドは前半から飛ばしてきていたので、後半に運動量が落ちたらペースを握り返せるかなと思ったのだが、6人まで交代できるレギュレーションで次々にフレッシュな選手が入ってきたのと、ホームの雰囲気でなかなか相手のペースが落ちず、日本は大儀見の出来こそ素晴らしかったが、大野は消えがちで川澄にはミスが多く、依然として流れはイングランドに傾いたまま。
ところが、31分に相手のパスミスを拾った大野がDFを引きつけ、流したボールを上手く川澄が流し込んで、不調ながらもここぞという場面でベテランが仕事をして同点。いつの間にか少女からガッチリしたマッチョになって驚愕の岩渕の投入があったものの大きなチャンスは作れずにドローで終了。
エース格2人がいない状態で、最終ラインに新戦力を並べてのこの結果はまずまず合格というところだろうか。守備も序盤や失点場面はいただけなかったが、後半は押されながらも落ち着いた対処が見られるようになり、熊谷のボランチも澤と比べるとアレだが、幅広い機動力が見えて良かったように思う。
ただ、日本のサッカーはかなり研究されており、これからもフィジカルとハイプレスでパスワークを分断させてくるチームが増えてくると予想されるだけに、澤のような展開力のあるボランチやDFの登場が望まれる。田中陽子あたりはまだフル代表クラスでは難しいんだろうか?