「0-4から0-3への進化」コンフェデレーションズカップ グループA ブラジル-日本 

正直なところ、試合前は0-3ぐらいの点差で負ける可能性が高いな、と思っていたのでこの試合内容と結果はまずまず個人的に想定内ではあった。
今のブラジルは、1トップのフレッジは献身的に体を張って2列目のタレント軍団に点を取らせるための存在であり、2列目のネイマール、オスカル、フッキはポジションチェンジをしつつ個の才能を見せつける。マルセロとダニ・アウヴェスはここぞの攻撃参加で厚みを見せつけ、ボランチとCBは粘り強い守りと確実な組み立てでチームを下支えする。そして全員が高い位置からプレッシャーをかけて早く攻める。
と書くと、実は日本とチームコンセプトがほぼ同じだと言う事が分かるはず。つまり、やっているサッカースタイルが一緒であれば、差が付く点は個人の能力とコンディション、コンビネーションという事になるわけだ。
もちろん、日本は個の能力では明らかにブラジルには劣るので、勝つとしたら運動量とコンビネーションしか無い。しかしコンディションはイラク戦をこなして来ての時差と長距離移動があったので絶望的。で、アジアレベルのコンビネーションだけで勝てるほどブラジルは甘くないという事で、まあ先制点を取られたら勝ち目は無いなと思っていた。なのに、開始わずか3分で決められてしまったからね・・・
ただ、後半はほぼ全員がガス欠になってしまったし、試合の終盤にボールロストからカウンターで綺麗な3点目を決められてしまった事で印象の悪い終わり方にはなってしまったけど、前半の戦い方には前回の対戦からすると向上が見えたと思う。
前回の親善試合では、最初から皆がイケイケになってしまって後ろがスカスカになって相手のカウンターに対する対処があやふやになってしまっていたけど、今回は高めの位置にゾーンを敷いて、自分たちのミスから攻められる場面以外は組織として比較的安定していた。W杯に向けての総体的な方向性としてはこれで間違っていないと思う。
あとは、最大の問題点かつ難点は個の能力をどれだけ上げていけるかという部分。ぶっちゃけ、いくら前線から守備をしてくれるとは言え、ブンデスでまともに機能しない岡崎のトップ起用をしているようでは厳しいし、遠藤と長谷部、細貝のボランチでは攻守ともに型落ちする。今野と前田が意外と頑張っていたところを見ても、東アジア選手権から国内組のスケールの大きな若手を本番までに育て上げるトライも必要だろう。
そして安泰と見られる海外組についても、1点目はマルセロに対する本田のマーク、フレッジに対する長友の対処が甘かったゆえの失点であり、チームでは他に高い能力の選手が揃っていて甘さが失点につながる事は少なくても、日本代表がブラジルと戦うとそういう部分から崩されてしまうわけで、自分たちが率先して隙の無いプレイでチームを引っ張らなければならないという事を肝に銘じる必要がある。
次のイタリア戦は、コンディションという点ではブラジル戦よりはマシになるはずなので、そういうディテールではあるけど重要な違いを生み出す部分について、明確なレベルアップを期待したいところである。