「やはり中村がいるとこうなるね」J1第9節 横浜Fマリノス-鹿島アントラーズ

今節のJ1注目の上位対決は、予想通り守備組織がしっかりしたチーム同士のソリッドな戦いとなり、73分にアウェイの鹿島が横浜のお株を奪うセットプレイで先制するも、後半ロスタイムに岩政の2度のヘディングクリアミスから最後はファビオが蹴りこんで同点ゴールという、劇的なドローでの幕切れとなった。
ここまで、高い位置からのプレッシングと中村が繰り出すセットプレイで手堅く勝ち点を積み重ねてきた横浜だったが、鹿島は横浜をきっちり研究して来て、ポゼッションするとどうしてもトップ下の中村にボールが集まって遅攻になる横浜の性質を利用し、低めの位置でボールを絡めとった後は大迫にロングボールを集めてダヴィとのコンビでチャンスを作るプランが嵌ったといえる。
横浜は、リードを許した時点から中村がほぼボランチの位置に下がり、そこから高い位置でワイドに広がった両サイドへポンポンとミドルパスを展開するショットガンのようなサッカーになったが、攻撃という面ではその方が中村をトップ下にするよりもよほど実効性と迫力があったように思う。
まあ、その辺は中村を中心選手にするチームの宿命みたいなものであり、やはり彼は自分が点を取るよりも誰かに点を取らせることを優先するタイプであるため、自然と中村の位置がチャンスメイクの重心になり、彼が高い位置にいればいるほど遅攻性が高まってしまうのだ。しかし彼をボランチにすると、今度は守備負担が大きくなってしまうジレンマ。
これから2位の横浜に対しては研究してくるチームが増えてくるだけに、今後「中村」をどういう位置、役割で使っていくかに注目して行きたいところである。