「ジャイアント・キリングだけではございません」イングランド・プレミアリーグ レディング-サウサンプトン

現在リーグ最下位に低迷し、残留に向けてなりふり構わぬレディングが急遽新監督に据えたのは、なんと冬にサウサンプトンを電撃解任されたアドキンス。と言うわけで、図らずも監督の采配に注目が集まる試合になった。
そのアドキンス監督は、いきなり中心選手のレイジャーウッドとポグレブニャクを控えにするという奇策に出て来た。そして、DFとボランチに前からプレスをかけ、ボールを奪ったら相対的に守備が弱いショーとホーイフェルトがいる左サイドを攻めるという、中盤から後ろは足元へのボールが多いサウサンプトンの特徴を逆手に取った対策を見せて来た。
しかしここ最近のサウサンプトンの自信は見違えるほどで、前半途中でセットプレイ崩れからバタバタ慌ててあわや失点の場面を作りはしたが、そこからは完全にレディングをポゼッションで上回り、35分にダイレクトパスを3つ続けてレディングの選手を翻弄すると、最後はロドリゲスがGKの前でボールを触って流し込み、74分にも吉田の縦パスからダイレクトプレイを重ね、最後はララーナが冷静に決めて2-0として勝負あり。
ホームのレディングは守備への切り替えやカバーリングを決して怠ってはいなかったのだが、何しろサウサンプトンの選手は、お前らシャビか遠藤か、というぐらいに狭いパスコースを自信に満ちたパスで通し、バルサも真っ青なダイレクトパスを繋げるのだから、シーズン序盤のお笑いチームはどこに行ったのかと首をひねってしまうぐらいの変身ぶり。ぶっちゃけ日本代表よりもよほど整ったパスサッカーをやっていて、強いチームに勝って自信をつけるというのは想像以上にチームを化けさせるんだなあと思ってしまった。
吉田については、怪しいミスパスやロングボールの目測を誤ってのかぶりなど、いつも通りのやらかしプレイはあったものの、縦パスやフィードを何本も通してチームのポゼッションサッカーにリズムを与えていた。でもこれだけチームが万全だと、もっと吉田が危機に陥るような強いチームと試合してほしいとつい思ってしまうのだから、人間というものは欲深い生き物だなあと(笑)。