「全てが裏目に出たザックジャパン」ブラジルW杯アジア最終予選 ヨルダン-日本

裏の試合であるオーストラリア対オマーンがドローに終わったおかげで、日本は引き分け以上でブラジル行きが決まるチャンスだったのだが、あえなく自滅で悔しい敗戦、切符の獲得は次戦以降に持ち越されてしまった。
試合の先発は、カナダ戦で良かった後半の布陣で来るかと思ったのだが、ザックはあえて本来のベストメンバーに近い形である、前田1トップの香川トップ下、2列目の左に清武を入れた前線にして来たのだが、残念ながらこれがあまり機能しなかった。
意外にも、ヨルダンはあまり前から来ずに日本は比較的中盤でボールを持つことが出来、序盤は清武が香川とのワンツーでPA内でフリーになったり、前田が2度もゴールからの至近距離でヘディングを放つなど、決定的なチャンスを作ったのだが決め切れない。
そこから徐々に、単純なロングボールをヨルダンの前線がフィジカルを生かしてキープし始めると、強引なドリブルを日本の守備陣が止められずにズルズルと下がり、それに釣られて2列目までもが後退して前田が孤立、日本は遅攻しか仕掛けられなくなって、それも丁寧に行き過ぎてシュートを打たずに外へパスを流してみたり、足元でこねたりと、単調な攻撃に終始してしまう。そして前半終了間際にCKから失点・・・
後半からはガッチリ引いてしまったヨルダンに対し、日本の工夫が足りない攻撃はやすやすと受け流され、15分に酒井高徳がアタックに行って交わされた後、吉田も相手を見てしまってそのままドリブルで持ち込まれてあっさりと2点目を献上。吉田の淡白なプレイもそうだが、ここで誰もカバーに入っていなかったところに日本のコンディションの悪さが露呈していた。
これでようやく日本にも少しエンジンがかかったのか、清武のワンタッチで裏に流した浮き球に反応した香川が流し込み1点差に追いつくと、内田のオーバーラップをヨルダンの選手が倒してしまいPK。しかし職人であるはずの遠藤は、魅入られたかのようにGKのタイミングで打ってしまい失敗。ここも、遠藤が好調であったならばと悔やまれる。
このPK失敗でまた相手が元気付いてしまい、その後は日本がボールを支配するもヨルダンは最後まで足が衰えずに日本の攻撃を跳ね返し続けてタイムアップ。悪いなりに最低限でも引き分けには持ち込めた試合の流れだっただけに、非常に悔しい結果になってしまった。
カナダ戦の出来で懸念はしていたが、前田と長谷部、遠藤、今野、内田のプレイにキレがなく、右利きで左にいるならシュートが期待されているはずの清武がまたも消極的なプレイに終始してしまうなど、結果的にはザックの起用は完全に裏目へと出てしまった。中村憲剛でボランチの不出来をフォローし、マイクでフリックやポストプレイを活かして中盤が前を向く時間を作るプランだったらと思うのだが、想像以上にザックにもプレッシャーがかかって、選手とともに慎重になり過ぎたのかもしれない。
まあ、先発で出ていた選手はそれだけザックの信頼を集めていたのだから、それに答えなければならないのは間違いなく、監督にも選手にも残念な気持ちが残る試合だった。とにかく次はホームで崖っぷちのオーストラリア相手のガチンコ勝負が待っている。今度こそ、万全の状態でスッキリ勝って決めて欲しいものだ。