「アップセットも納得」イングランド・プレミアリーグ サウサンプトン-マンチェスター・シティ

もう既に大きな話題になっているが、プレミアリーグで優勝争いを展開している強豪マンチェスター・シティとの試合で、サウサンプトンが3-1で勝利するという見事なアップセットを成し遂げた。
とは言え、その勝利の最も大きな要因となったのはシティの不調。代表選手を多く抱え、なおかつ勝ち点9差で首位に立っているマンUを追いかけるためにこれ以上負けられないシティは、ターンオーバーをせずにベストに近いメンバーを出してきたのだが、それが完全に裏目に出てしまった。
テレビの画面に映っている選手の数が、いかなる場面でも水色よりも赤色のほうが多い、つまり攻守の切り替えとボールサイドへの寄せに明らかな差があり、サウサンプトンの先制点はサイドでの1対1でミスをしてのカウンター、2点目はハートのポロリが直接原因とはいえ、そこに至るまでにセットプレイからの切り替えが遅くてサイドでボールを受けたランバートへの対応が出来ずと、全てが後手後手なプレイになってしまっていた。
それに対してサウサンプトンは、以前であれば吉田ひとりが率先してラインの押し上げをやっていた印象だったのだが、今はトルシエジャパンやリーガのチームのように、全員が常に横を見ながらラインの上げ下げを統一しようとしていて、明らかにボチェッティーノ監督の指導で守備組織が作られているように見えた。
そしてこういう積極的に組織でラインコントロールするチームがプレミアでは少ないせいか、シティの前線はそれに対応できず窒息してしまい、吉田もマークの相手であったジェコに対して終始ポジショニングで優位な位置に立ち、最後まで主導権を握らせずにうまく封じていた。まだマロニーのような小柄なドリブラーには弱いけど、今のところ高さのある相手に対してはポジショニングと機動性で十分対抗できているのは立派である。
ただ、逆に言えば監督が守備組織を構築出来るとなると、アドキンス監督時代のように守備を統率するリーダーが必ずしも吉田でないといけないわけでは無くなるので、日本人的にはちょっと痛し痒しのところはあるんだけど(笑)、まずはチームとして結果を出さなけれないけないのだから当然これで良いんだけどね。
試合の方は、前半の終わり頃にカウンターから1点差に追いつかれ、後半の立ち上がりからは厳しくなるかと思われたのだが、後半開始3分でバリーがクロスをコースに流しこむ技ありのナイス(オウン)ゴールを決めてくれたおかげで(笑)、かなり精神的な余裕が作れた。さすがに最後の20分間ぐらいは運動量が落ちて画面に映る選手も同数ぐらいになってしまったが、シティの交代選手もことごとく微妙が出来だったので最後まで落ち着いて守りきれた。
これでサウサンプトンは降格圏まで勝ち点4差をつけての15位に浮上。ここまで強豪との2戦目を多くこなして来ているので、残りカードを考えたら残留の可能性はかなり高くなってきた。まあ、そういう時ほど精神的に緩んで取りこぼしたりするので、これから次の試合まで2週間ある時間の中で、さらに守備組織のオートマティズムを高めてほしいものである。