2003年8月20日

・親善試合 日本-ナイジェリア(3-0)

ナイジェリアは1軍に帯同できそうなメンバーがババンギダぐらいの2.5軍という完全に若手の育成として考えられたメンバーで、日本が最初に簡単に先制したときはこのナイジェリアはとんでもないチームだなと思ったが、後半途中まではまずまずしっかり守備をしていてニュージーランド戦よりは強化のためになった試合だと言える。

ただナイジェリアも1対1では身体能力と長い足で強さを見せるのだが、高原の2点に見られたように集中力を簡単に切らせてしまってどフリーにするところはやはりアフリカだなと思わせた。しかし、それでも決められないのが日本の決定力不足だったのだが、そこを高原がきっちり決めたのは非常に喜ばしい。

守備面でも、前線も含めたプレスの連動が効いていて、相手が個人技に走り始めた後半は特に安心して見る事が出来た。宮本と坪井のCBコンビも、序盤は危なっかしいパス回しでひやひやさせられたが、コンフェデの反省が生きたのか、終始セーフティなプレイを心がけていて好感が持てた。

だが良い事ばかりでは決して無い。特に、相手のマークが効いていた時間帯ではほとんどビルドアップらしいビルドアップが出来なかった事は気になる点だ。FWのポストプレイが相手の身体能力に負けて安定せず、またワンタッチパスを回そうという意識はあるものの周りの選手の動きにオートマティズムが無く、後ろからのロングボールや柳沢の飛び出し頼みになっていたのは強豪と当たったときに必ず深刻な問題を引き起こすだろう。

そして交代選手も1人だけと動かない事は相変わらずで、層を厚くする事を全く考えていない采配にも疑問を持たざるを得ない。しかも今の大久保のセレッソでの調子を考えれば久保あたりを試すべきだったのではないか。やはり、戦略面を考えると単純に勝ったから良かったと素直に喜べない試合だったのも確かである。海外組の召集が困難なこれからのセネガル戦や東アジア選手権で、どういった内容を見せられるのかに注目したい。

●採点

  • 曽ヶ端 6 開始直後は相手の高さにパンチングで逃れるシーンが目立ったが、あとは安定した飛び出しを見せた。
  • 山田 5.5 守備専だったにもかからわずカルなどの突破を度々許してしまった。1対1の対応よりもポジショニングに課題。
  • 坪井 6 まだ危ないパスはあるものの1対1は終始安定していた。
  • 宮本 6.5 カバーリング、ラインの統率ともに今日はミス無し。これからはもっとグラウンダーのフィードを使いこなして欲しい。
  • 三都主 6 攻撃の良いアクセントにはなったがまだまだ守備が軽率。ただ向上はして来ている。
  • 中田 5 いつものコンディションの悪い時の中田であった。判断、パス精度共に×。
  • 遠藤 6 前半1対1でことごとく負けていたが、後半はディレイを心がけて良くなった。攻撃のリズム作りは安定している。
  • 稲本 6 コンディションの良さを思わす安定した守備。プレミアでのレギュラー争いを考えればもっと判断のスピードが必要か。
  • 中村 6.5 序盤は判断の遅さが目立ったが、後は精度の高いパスで攻撃を引っ張った。あとはレッジーナでさらに守りに磨きをかけて欲しい。
  • 高原 7 2点は立派の一言。ただ、もっとポストプレイが安定しないとロメオを追い出すのは難しい。まだまだ精進である。
  • 柳沢 6 動き出しの良さも点を決められないのも相変わらず。ただ、FWらしい強引さが見えるようになってきたのはイタリアでの成果か。裏に抜けてからのキープにまだ課題。
  • 大久保 4.5 ただ裏に飛び出すのと強引に競るのみでJリーグでの不調を引きずっている。復調を期待。

サッカーコラムマガジン「蹴閑ガゼッタ」