2004年4月9日

・香港周辺サッカーマーケット事情 by bananafishさん

J発展のもう一つの手段としてのアジアへの放映権ビジネスでという興味深い話しが出ました。香港を中心としたサッカーをめぐる状況紹介させてください。何かの参考になれば幸いです。

<サッカー植民地化>

1.有線TVでスポーツ系のCHが4^5ありプレミア、セリエA、リーガの上位を中心とした試合は確実に見ることが出来ます。また、最近ではブンデスやポルトガルリーグなども放映。EUROはカバー。各国代表の親善試合などもちらほらと見れる。

2.巷ではSIMENSマドリーのレプリカユニフォーム(本物、ニセモノを問わず。多分後者が多い。笑)を老若男女が着ている。草サッカーチームでユニだけ見るとアーセナルVSレアルとかエバートンVSマンUの試合が見れたりする。(笑)

3.一方で香港リーグの人気はガタ落ちでスタジオは閑古鳥。TV放映もなくダイジェストのみ。(日本人の伊藤という選手が傑志というチームでがんばっており先日のカールズバーグカップに香港選抜として選ばれました。)中国リーグも特に輸入されてきていないですし関心も低い。

という所謂、西洋サッカーによる植民地化があり、その分国内リーグが空洞化しているのだと思います。シンガポールの状況もその点は似たり寄ったりだと思うのですが、今年から新潟が参戦したことは現状に一石投じたもの、あるいはこれまでとは違ったことが起こり得るものだと思います。

<サッカーファン動向>

商売としてはこのように列強に圧倒されている感がありますが、香港ではサッカーファンはかなりおります。自分でプレーする人たち(アマチュアのリーグ戦から7人制のミニサッカーまで)はますます増え日本に比べてはるかにめぐまれているコートも争奪戦が繰り広げられています。90分168ドルのコートを500ドルで請け負って朝から並ぶチケット屋が闊歩する始末です。そして2年ほど前から思い思いの格好や裸でプレーしていた彼らがレプリカユニをおそろいで着てくるようになったりもしています。

自分でプレーしないまでも先に出た有線放送などで試合観戦を楽しむもの。プレミアのひいきチームにやたら詳しい連中などもいます。新聞や雑誌などでもサッカー関連のニュース、ゴシップはかなり多いと言えるでしょう。また、昨年からはサッカーくじが正式に香港JOCKYクラブ主宰で行われ海外リーグの結果を当てるという形で売り出されこちらもサッカーファン、ギャンブルファンを巻き込んでそこそこ好調のようです。

<日本のサッカー、Jへの関心>

日本人選手でもっとも早く注目を集めたのはやはりJ創設以来の三浦カズであったようです。知名度もかなり高く多くの人が名前を知っています。その後98年のフランスワールドカップでは川口ヨッシーが甘いマスクもあって女性を含めたファンを獲得しました。

次にペルージャ進出後の中田ヒデは鮮烈なデビューもあり、すぐ知られるようになりましたし、今では香港でもっとも人気のある日本人サッカー選手であると言ってもいいでしょう。何度かプライベートで香港を訪れたこともあり、香港で活躍する女性モデルとのゴシップを書きたてられたこともあります。

また欧州に出ている日本人選手はやはり試合が見れることもあって名前を知られていると言えます。さらにアジアクラブカップ(正式な大会名称忘れました)などで何度か来たことのある清水エスパルス(香港では清水心跳と呼びます)などはJのチームとしては知名度がある方です。

代表のレプリカユニフォームなども着ている人はかなり多いです。そもそも香港では普段着にレプリカを着ている人が多いほうだと思うのですがその中でも目立つ方でしょう。

<Jリーグの放映>

実際に香港では放映されています。しかし、セリエAやプレミアほどきちんとしたスケジュールに基づいていないようです。放映権が高いからなのかどうなのか・・・。95年ごろ香港の放送局からあったオファーを安すぎて話しにならないということでJが断ったという話しを聞きましたが、あの当時なら安くてもいいからとりあえずはじめておけば今頃結構オイシイものになったのではないかと思えます。

先ずは定期的に放映されること。それに伴って知名度がもっともっと上がること。これが大事ですよね。つまりガゼッタさんのおっしゃる「地道な浸透努力は決して無駄ではない」ということであると思います。中国語や英語のWEBサイトなどもあってもいいと思います。(各クラブさん。うちで作りましょうか?笑)

各国の人気選手の獲得した上での商売という点について。韓国Kリーグからは人気選手はがんがん来てますね。(現状ガゼッタさんのおっしゃるようにビジネスにつながっているかどうかはともかく)中国Cリーグ。ここからももっとKリーグのように選手が来てもいいのかもしれません。実際エバートンの科健の名前の入ったユニフォームなんかも結構香港では売れてますし。ついでに中国企業にスポンサーしてもらうのも手ですね。一方、香港、シンガポール、タイあたりのリーグは先に述べたように人気がまったく落ち込んでいるので人気選手と言っても・・・という状況にあるような気がします。

最後に<まだ第二次世界大戦中の日本に対する反感が根強い>ということに関してはまったくないと言うつもりはありませんが、この件に関して気にする必要はそれほどないと思います。(放送の規制があるのであれば別ですが)

いずれにしても新潟のやっていることというのはいろいろな意味で面白いことだと思っています。22日から25日まで出張でシンガポールに行くので試合があれば見てこようかなと思っています。

●以下編者より

大変詳しいレポートありがとうございました。実情としては、可能性のあるマーケットなのに日本側が無視しているか、ほとんどそれに気付いていないという形でしょうか。それにしても代表ユニまで人気があるとは意外でした。新潟のSリーグへの挑戦に意義の裏づけがあるんだという証明を得られて大変嬉しいです。また、アジアに関するレポートをお待ちしています。

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サッカーコラムマガジン「蹴閑ガゼッタ」