2005年6月3日

・ドイツW杯アジア最終予選グループ2 北朝鮮-日本(0-2)

無観客でのタイのスパチャライ競技場でのW杯出場がかかった一戦。スタジアムの外からは日本サポーターの声が聞こえて観客席を見なければそれほど違和感の無い雰囲気が漂う。日本はGK川口、DF中澤、宮本、田中、MF中田コ、福西、稲本、加地、トップ下が小笠原、2トップが柳沢と鈴木。対する北朝鮮は3-6-1といった感じの攻撃的な布陣。

試合開始直後は、予想通り北朝鮮が激しく前から来る展開で始まったが、日本は落ち着いたセーフティーな守りと後ろでのパス回しで徐々にポゼッションを回復する。が、攻撃では北朝鮮の激しいマークに前線でボールが落ち着かず、パスやクロスもピッチ状態の悪さからか精度の高いボールが入らず、決して高くない北朝鮮ディフェンスに跳ね返されてしまう。

20分ごろからは日本もペースが落ち着いてしまい、北朝鮮にペースを握られそうになってフリーでのヘディングを許してしまったりしたが何とか運良くボールは枠を外れて一安心。そして28分に北朝鮮はキムヨンスを早速投入。しかし日本はやはりペースが上がらず、前線の動きも止まって後ろでタラタラボールを回すアジアカップ状態に。その中でも日本はいくつかセットプレイのチャンスを得て惜しい場面を作ったのだが決められずに前半は終了する。

後半になると今日は機能していなかった鈴木に代えて大黒を投入、彼の裏への鋭い動きが日本の攻撃を活性化させ、前半はマークで消されていた小笠原が攻撃にからめるようになってチャンスを量産するものの、稲本が至近距離からのボレーを外すなどで物に出来ず。さらにここで北朝鮮は3人目のパク・ナムチョルを入れて勝負に出る。

日本はここから北朝鮮の長いボールに手を焼き始めるが、日本も何とか中盤でのチェックを欠かさずに相手の連続攻撃を封じ込める。逆に相手の高く上がったラインの裏を狙った日本の攻撃も可能性が出始め、柳沢のDFと競りながらのシュートと言う場面も。そして28分に、ロングボールに反応した大黒がDFと競って落ちたこぼれ球を狙っていた柳沢が走りこんでスライディングシュート、これがGKの手に当たりながらゴールに転がり、日本は待望の先制点をゲットする。

ここからは日本も少し安心感が出たのか全体的に引き気味になり、総攻撃をかける北朝鮮の出足にミスも多くなって危ない場面を作られ始める。しかし今日の日本は最後までバイタルエリアでの守備に手を抜かず、それほど北朝鮮に圧倒されるという雰囲気までには持ち込ませない。そしてその姿勢が43分に結実する。中盤での良いチェックから田中がボールを奪い、そのまま裏に抜けた大黒へパス、大黒はドリブルからGKを余裕を持って交わしてゴール、これでドイツ行きの切符はほぼ手中に。

あとは北朝鮮のキムヨンスが報復行為で一発退場と言うおまけが付いて、日本は2-0で北朝鮮に完勝、無事ドイツワールドカップの出場権を獲得した。

今日の日本は19分のフリーでのヘッド以外はラインの上げ下げとマークが安定し、中盤も前回のようにバタバタしてバイタルエリアに穴を開ける事も無く、非常に落ち着いた試合運びを見せたと言える。それに審判の判定にイライラさせられる事も無かったし(笑)。それはともかく、日本にとっては北朝鮮のダイナモであるアンヨンハがいなかった事はラッキーだったが、今日の日本であればそれほど危険な事にはならなかっただろう。しかしどうしてこんな試合が最初から出来ないのか・・・とまあ愚痴はこれぐらいにして、今晩は美味い酒を飲んで日本のW杯出場を祝おう。

おもでとう、日本代表!

●採点

  • 川口 6 数少ない守備機会もミスは犯さず。
  • 中澤 6.5 怪我にもかからわずいつもと同じ安定感。
  • 宮本 6 ちょっと集中を欠く場面もあったがラインは安定。
  • 田中 6.5 2点目の積極性は見事。好調を保つ。
  • 中田コ 5 クロスの精度、守備のポジショニング共にどうにも合わず。
  • 福西 6 今日も良いバランスを保っていた。攻めもシンプルで良い。
  • 稲本 6 ボールのトラップはさすがだが判断がついてこなかった。後半息切れ。
  • 加地 5.5 8割の攻撃ストッパーと2割の良いサイド突破。
  • 小笠原 6 前半は消されたが後半に盛り返す。
  • 柳沢 6.5 マークに苦しんだが値千金のゴールはお見事。
  • 鈴木 5 不調。ポストもファールゲットも冴えず。
  • 大黒 6.5 後半に日本のリズムを作る。柳沢とのコンビも良し。
  • 遠藤 6 少ない時間ながら積極的にボールを追った。
  • ジーコ 6 後半の大黒投入はいいが、それ以外は・・・

サッカーコラムマガジン「蹴閑ガゼッタ」