2010年01月04日

「一点突破型サッカーの限界」天皇杯2010決勝 ガンバ大阪-名古屋(4-1)

今日までは酒に漬かりながら箱根駅伝のほうを見ていたので(笑)、ようやく天皇杯レビューのアップを簡単に。

まあ、一言で言えば今シーズンの名古屋の弱点がモロに出てしまった試合だったかなと。

名古屋は4-3-3のフォーメーションで、サイド攻撃を中心としたサッカーをやっているのだが、このフォーメーションの場合は中盤の3人がどこまで1トップのケネディに絡めるかが重要なのだが、DFのラインは低いままでボールの奪いどころが低く、中盤はボールを受けてもガンバのような早いパス出しが出来ず、結局もたもたとボールを回してようやくサイドにボールを回すも、ガンバの守備が揃っているのでなかなかスペースへと飛び込む選手がいないという悪循環を繰り返してしまった。

それでも、一度は現在唯一の絶対武器であるケネディの高さを生かして得点を決め、2点目を決められるチャンスもありはしたのだが、逆に遠藤のスーパードリブルで2点目を奪われてしまうと、交代で投入したのがブルザノビッチと三都主という、疲れた先発メンバーよりも走らない面子だったので(笑)、その後は定石どおりにカウンターから失点を積み重ねてしまった感じだった。

日本代表クラスが4人ずらりと揃っているガンバの中盤と、代表未満が3人の名古屋の中盤では、よほどコンパクトにしないとボールを支配されてしまうのは火を見るより明らかだったが、コンパクトになかなか出来ないのが今期の名古屋を象徴していたように思う。

もし楢崎が絶好調であれば、1点目も2点目も防いでいたかもしれないが、名古屋にとって運の悪い事にこの試合の楢崎は悪い楢崎で、調子が良いときのガンバはJでもなかなか勝てる相手がいないぐらいに強い上に、遠藤が神がかっていたのがさらに名古屋にとっては不運だった。つーか、あれぐらいのプレイが出来るなら代表でもやってくれと(笑)。

名古屋は闘莉王や金崎、ダニルソンなどを獲得する事が決定しているようだが、闘莉王はそもそもラインコントロールが不得意な上に、一番の補強ポイントである中盤センターの力が未知数なのが不安点。金崎が守備に開眼してくれる事を期待するしかないかな。

ガンバは来シーズンも優勝争いをするだろうけど、遠藤・二川の両看板、特に遠藤はW杯後の海外移籍が噂されているだけに、彼らの次をそろそろ考えていかないと、中盤が命のチームだけにあっという間に残留争いをしてしまうようになるかもしれない。特に、宇佐美をちゃんと育ててくれないと困るんだけどねえ。

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2009年12月31日

「余裕のパス回し」天皇杯2009準決勝 ガンバ大阪-仙台(2-1)

名古屋と清水の試合がPK戦までもつれこんだので、この試合は後半からのレポートになってしまうが、仙台ファンには悪いが、点差以上の実力差があった試合だった。

仙台のサッカーはハードワークのお手本のようなサッカーで、後半13分に同点に追いついた得点も、マイボールになったところで逆サイドが高い位置まで上がり、そこからさらにゴール前へと3人が入り込むという、個人技を持たないチームが点を取るための定石を実行した結果であった。

が、ガンバがそこからアクセルを強めて前線からプレスをかけると、とたんにDFラインでのパス回しが怪しくなって攻撃の組み立てが出来なくなり、ルーカスに再度リードを奪われる失点を喫してからも、終始ガンバにボールを回される展開で最後まで反撃する機会を持てなかった。

仙台は来期J1に昇格するわけだが、J2ではリアクションサッカーのみでやって行けても、J1では自分たちがある程度ボールを保持した試合が出来なければ、確実に残留争いにはまり込む羽目になる。特に、中盤のクォリティをもっと上げる必要があるだろう。

そしてガンバは、第3GK木村の出場と言うアクシデントはあったが無難なプレイ振りを見せ、安田も攻撃での貢献が高いプレイで穴の無い出来。名古屋と比べても有利な状態と言えるが、一発勝負は何があるか分からないからね。とにかく決勝は楽しみだ。

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2009年12月30日

「勝負を決めたのはGKの背中」天皇杯2009準決勝 名古屋-清水(1-1PK5-3)

試合内容と決定機の数ではやや清水が上回ってはいたものの、延長で完璧な決定機を防いだ楢崎とPK戦でバーに当たったボールが背中に当たってゴールに入ってしまった(まあそれを実力とするには気の毒だけど(笑))山本というGKのわずかな差で勝負が決まってしまった試合だと言えるだろう。

しかし、個人的には一見うまく行ったように見える長谷川監督のゲームプランこそが、勝敗を左右したように思えてしまうのだ。

前半の清水は名古屋にボールを支配されながらも、DFがケネディをがっちりマークしてしぶとい守りで得点を許さず、逆に一発の裏へのパスに岡崎が半歩抜け出し、チップキックで楢崎の飛び出しを交わしてゴールを決めてしまった。

そして後半に、ポストワークが出来るヨンセンを投入した事で前線に起点が出来、名古屋の運動量が落ちた事で逆に清水のボール支配率が上がったが、それが逆にカウンター得意の清水にとっては攻撃時のスペースが無くなると同時に、後ろのスペースが出来てしまったためにケネディへのマークが遅れてPKを取られてしまったのではないだろうか。

とにかく、そういうこじつけをついしたくなってしまうほど、両チームの持ち味が出た、拮抗した好ゲームだったね。

もう一方の準決勝は順当にガンバが仙台を下して勝ちあがり、元日のカードはガンバ対名古屋という事になった。互いにサッカーのスタイルが異なり、カップ戦の強さに定評のあるチームだけに、白熱した試合内容はもちろん、こちらも指揮官の運や勘が物を言う試合になりそうだ。

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2009年12月15日

「個対組織の結末」天皇杯2009準々決勝 名古屋-岐阜(3-0)

天皇杯という場で実現した中京ダービーは、まるで日本対オランダの仮想戦とも言うべき内容と結果になってしまった。

岐阜はまさしく「スモールサッカー」の典型で、前半の30分までは名古屋のポゼッションの前にカウンター狙いしか出来ず、たまに裏に抜け出しても名古屋の1対1での守備能力に封じられてシュートまで持ち込めず、やっぱりJ2の下位だとこんなもんなのかな、と思ってしまった。

ところが30分を過ぎると名古屋のプレスが落ちた事もあるのだろうが、岐阜の選手がどんどんと前線に飛び出すようになり、名古屋のミスを突いてはDFのゾーンの合間を縫ってダイアゴナルの動きをする選手にパスを通し、走るサッカーのお手本とも言うべき内容になったのにはビックリした。

が、怪我から復帰した楢崎が岐阜の決定的チャンスをことごとく防ぎ、逆に前半終了間際に阿倍のシンプルなアーリークロスがケネディのジャンプ最高地点にドンピシャで合ってしまい、岐阜としては防ぎようの無い失点を食らってしまう。

後半の序盤も岐阜の勢いは続いたが、名古屋はサイドチェンジで岐阜のプレスを弱める手段に出始めると主導権は徐々に名古屋のほうに移り始め、22分には杉本からのグラウンダーをケネディが走りこんで合わせて2点目、最後はゴール前の混戦からケネディが蹴りこんでハットトリックを決める活躍で名古屋が勝ちきった。

岐阜としては前半の押している時間帯に先制できていればまた結果は変わったのだろうが、結局は組織と内容で勝っていても、ケネディと楢崎という個の力に屈してしまったわけで、Goal.comではW杯で日本対オランダの試合を0-3と予測しているそうだが、本番もこうなってしまう可能性が高いんだろうな、と思わざるを得なかったね(笑)。

名古屋は杉本やブルザノビッチがあまり働けていなかったけど、攻守の切り替えという面では悪いときよりかは大分調子が戻っているようで、このままケネディと楢崎が好調なら天皇杯優勝>ACL出場枠ゲット、というチャンスは結構ありそうな様子である。次は清水との準決勝だが、今期は1勝1分けと相性の良い相手なので、きっちり勝っておきたいところだろう。

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2009年12月13日

「ここまで来たらもはや様式美」天皇杯2009準々決勝 仙台-川崎(2-1)

しかし今年の川崎は、最後の最後まで運に見放された1年だったよね(苦笑)。

この試合も、序盤から川崎がボールを支配する展開にはなったのだが、怪我でジュニーニョを欠いて黒津が先発になった攻撃陣の連携が今ひとつで、中村憲から良いパスが出てもその先が続かず、非常にコンパクトな布陣を引いて積極的にラインを押し上げる仙台の守備の前に、単発のチャンスしか作る事が出来ていなかった。

そんな感じでぐだぐだ進んでいたら、逆に仙台にワンチャンスから中島に先制点を決められ、後半になると逆に仙台がリャンを中心としたカウンターから次々に決定的なチャンスを作るが、GK川島がこれぞ代表という好セーブを連発して何とか追加点を防ぐ。

後半25分を過ぎると、ようやく仙台の足が止まってその後は川崎が圧倒的に攻め続けるも、仙台はPAの中に引きこもりながらも何とか最後の一歩を出して川崎の得点を許さず、このまま試合は終わるかと思われたのだが、ロスタイムに仙台GK林がゴールから飛び出してボールに触れなかったミスを突いて村上が押し込み、最後の最後でやっと川崎が同点に。

これで勢いは完全に川崎かと思われたのだが、ここで負けてしまうのが今年の川崎で(笑)、延長後半に何気ない左からのアーリークロスが平瀬の頭に合い、体制は後ろ向きだったが力なく飛んだボールが見事に川崎ゴールの角へと決まり、これには川島もどうにも出来ず。川崎は残り時間の攻めも点にはつながらず、天皇杯も取れずに結局無冠でシーズンを終えることとなった。

仙台はもちろん殊勲である事は間違いないし、この勝利が来期への大きな自信になっただろうが、でもぶっちゃけ来期J1残留に向けての準備が遅くなるのと、優勝してしまったらACL出場と言う(プロビンチアにとっての)罰ゲームになってしまうからある意味冷や冷やもんじゃないかなと(笑)。まあ、鹿島に勝ったガンバもそうだけど、プロだったら天皇杯は取りたいだろうしねえ・・・つくづく、天皇杯の日程は何とかして欲しいところだよなあ。

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2009年11月15日

「両軍片肺」天皇杯4回戦 清水-甲府(3-0)

代表の南アフリカ戦は・・・まだ見ていないので先に天皇杯のほうを。

清水は代表戦で、甲府は次節に湘南との大一番が控えた影響でベストメンバーから数人が落ちた状態だったので、互いに決定機の少ない凡戦になってしまった。

清水は前節で柏に完膚なきまでに叩きのめされてしまったが、柏に比べると縦にボールを入れるスピードや精度、キープ力、プレスのスピードでは格段に差がある甲府相手では、それほど慌てる場面も無くボールをじっくり支配しつつ、セットプレイなどの要所できっちり加点していったという感じ。

甲府は、やっぱり攻撃の核であるマラニョンがいなかった事でボールの預けどころが無く、ちょうど柏に対する清水のように攻撃のスピードが遅くなり、そうなると個人能力では上回る清水の守備を崩すのはなかなか難しい。まあ、甲府にとっては視界は既に次の試合に行ってしまってるだろうから、仕方ないところか。

他の試合は鹿島とガンバが順当に勝ったみたいで、今のところJ2以下のチームの勝ちあがりは無し。さて、明治大学は新潟を食うことが出来るのか、楽しみだね。

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2009年11月02日

「やっぱり大学の存在って大きいんじゃ・・・」天皇杯2009 3回戦 名古屋-鹿屋体育大学(3-1)

だいたい、プロがアマチュア相手に苦戦するのは天皇杯の風物詩なんだけど、全敗で終わったU-17W杯や、最近のユース代表の守備力を考えると、大学がここまで健闘するってのは実は凄い事なんじゃないかと思ってしまう。

鹿屋大は磐田に対して8人できっちりとゾーンを作り、ボールに対して近くにいるゾーンの選手が激しくプレスをかけ、それに連動するように他のゾーンの選手が磐田の選手にぴったり付く守備で、その運動量が落ちないものだから、磐田が打開するには1対1の局面で打開するか、もっと速くて強いパスワークをする必要があったのだけど、この試合の磐田にはどちらも欠けていた。

それでも前半は磐田がボールをキープする展開で、16分に那須がミドルを決めて先制したのだが、後半から鹿屋大が攻勢に出たのと磐田が受けに入った事で試合の流れが変わり、鹿屋大のスピードに磐田の守備陣が度々裏を取られる場面が見られるようになり、ロスタイムに見事なシュートを決められてとうとう同点に。

延長に入って、イグノがボレーを決めてからはさすがに鹿屋大もガックリ来たのか、そこから3点目も決められてジ・エンドになってしまったが、まさにグッド・ルーザーと呼ぶにふさわしい若々しさの溢れる内容だった。

それにしても、即席でチームを作る代表と部活の違いがあるとは言え、日本トップの才能であるユース代表のあのひ弱で腰の引けた守備が、才能では彼らに劣るのに数年でJ1をも苦しめる守備になれるのはどういう事なのかと思うよね。

まあ、Jでも守備は基本的にパスコースをカットしてスペースを埋める事が主体で、まずは人にガツガツ当たる欧州や南米とは1対1に対する意識が違うんだろうけど、それでも鹿屋大の前に出て守る意識ってのはユース代表にはまず見えてこない部分であるのは確かだった。

全世界的な走るサッカーへの傾倒に加え、日本選手の平均的なテクニックの向上と、中堅・ベテラン選手の層が厚くなっている事から、いくら才能があっても対人スキルや運動量の意識に欠ける選手は使われない状況になりつつあるだけに、クラブユースの育成もそういう部分を重視して行かないといけないんだろうね。

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2009年10月13日

「オランダ戦の日本はこんな感じ?」天皇杯2回戦 G大阪-流通経済大学(5-2)

モチベーション高く、格上の相手に対して果敢な攻めを見せるも、個人能力の差と1つのミスが命取りとなって失点を重ねて敗戦という意味では、ガンバから見た流経大は、ちょうどオランダから見た日本のような位置づけだったのかもしれない。

流経大は、浦和の特別指定選手の宇賀神を中心としたパスワークとサイドチェンジが冴え渡り、特に前半は下平のサイド狙いがズバリと的中、先制点もそこからのクロスに対してゴール前へと4人が飛び込む見事なゴールだった。が、やはりサイドを中心とした早い攻め上がりの組み立てだけでは苦しく、ガンバが後半に下平を高木に変えてからは得意の形が押さえ込まれ、流経大の抵抗はそこまでとなった。

ガンバは相変わらず二川が好調で1トップのペドロの下で縦横無尽の働きで、この試合でもガンバの逆転の原動力となっていた。遠藤と橋本がいなくても、とりあえず二川を気持ちよくプレイさせていれば勝てる感じかな。

と書いてみると、攻めのパターンが同じな事と、最後は息切れしてしまうところまで岡田ジャパンと一緒だよなあ(笑)。次のトーゴ戦では、相手の一発ロングボールへの対処を強化しているみたいだけど、W杯予選で敗退が決定してしまった相手なので、勝敗よりも個人で負けない姿をとにかく見せて欲しいところだね。

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