「ハイラインのサウジ、日本にとって勇気となる大金星」カタールW杯グループC アルゼンチン-サウジアラビア

スポンサーリンク

今大会、開催国のカタール、イランとアジア勢が全く良いところがないグループリーグ。アジア3カ国目となるサウジアラビアは、優勝候補のアルゼンチンとの試合という事で、勝つチャンスはほとんど無いかと思われた。

しかも前半8分に、普通の試合なら流すであろう、PA内で少し体を抱えたプレイにVARでPKをアルゼンチンに与え、先制点を決めた時には、イングランド対イランの繰り返しとなる虐殺ショーになるかと思われた。

ところがアルゼンチンは、貪欲にゴールを積み重ねたイングランドとは違い、そこから明らかに手を抜いた省エネサッカーを開始。前線はサウジのDFラインに張り付いたまんまで、ロングボールが出て来るタイミングを待って飛び出すだけ。

前半21分にはメッシが抜け出してゴールを決めたかに見えたが、半自動オフサイドテクノロジーの餌食にあってあえなくオフサイド。27分もまたラウタロのゴールがオフサイド。守備でも中盤はスペースを埋めるだけのアリバイ守備で、サウジに度々攻め込まれてバタバタする流れ。

それでも前半はサウジをシュートゼロに抑え込んでいたアルゼンチンだったが、後半3分にメッシがボールをキープしきれず奪われると、DF裏に抜け出したアル・シェフリにゴールを決められる。サウジサポーターで埋まったスタジアムの雰囲気もあり、アルゼンチンのプレイに余裕が無くなっていく。

さらに8分、サウジは右サイドからのクロスをアルゼンチンがクリア、それを拾ったアル・アビドがシュート、これはブロックされたが、そのボールを再びアル・ドサリが拾ってファーサイドにゴラッソを決めてサウジがまさかの逆転。

アルゼンチンは14分に3人を代えて攻撃的な選手を投入するが、サウジは引いて守る選択はせずにひたすらハイラインを保って攻めの守備を貫く姿勢。19分にはフォイスが折り返しに合わせるが、サウジGKアル・オワイスが横っ飛びでセーブ。

後半34分にメッシが自ら相手に当たったかのように見えたがファールの判定。しかしメッシのFKはバーの上。39分には右からのクロスにファーでメッシがヘッドもGK正面。終盤はサウジが6バックでラインを作って守り倒す。

8分あった後半ロスタイムには、GKアル・オワイスが飛び出した後のゴールをアル・アムリがライン際でクリア、5分にも同様にアル・オワイスがクリアした後にメッシがPA内でボールを持ったがシュートまで行けず。10分にはアルバレスのヘッドもGKがキャッチ。

結局14分までロスタイムを引き伸ばしたが、最後までアルゼンチンはサウジに追いつくことが出来ず試合終了。実にアルゼンチンはアジア勢に対して初の敗戦、無敗記録は36で潰える事になった。

いや正真正銘の大金星、ハイパーアップセット。前半早々に得点した事で生じたアルゼンチンの油断、強豪に対して果敢に最後までハイラインを保ち、新規テクノロジーを味方にしたサウジの戦略と、まさに何が起こるか分からないワールドカップの醍醐味を具現化したような試合だった。

アジア勢がカタール、イランと腰が引けた試合で惨敗を喫していただけに、サウジのハイラインでの勝利は、日本にとっても勇気づけられる結果だったと言える。さてアジア勢4カ国目の日本はどういう試合を見せるのだろうか。

タイトルとURLをコピーしました