「カリウスが犯した凡ミスの連発以上に、リバプールに痛恨だったセルヒオ・ラモスの”必殺脇固め”」UEFAチャンピオンズリーグ 決勝 レアル・マドリー-リバプール

今年はウクライナの首都、キエフにあるオリンピスキ・スタジアムで行われた、チャンピオンズリーグ決勝・レアル・マドリー対リバプール。

レアルはベンゼマとロナウドの2トップに、トップ下がイスコ、クロース、モドリッチ、カゼミーロが中盤の4-3-1-2、昨年の決勝と同じメンバー。リバプールは中盤に怪我人がいるものの、マネ、フィルミーノ、サラーのベストな3トップを並べた4-3-3。

試合の序盤は、リバプールが前から積極的にプレスを仕掛け、サラー、マネの高速両ウイングに素早くボールを集め、レアルのDFラインの裏を狙って攻勢を仕掛ける。対するレアルはGKナバスを中心に粘り強く守りつつ、ベンゼマとクリロナがマークを受けている分、イスコが前線で幅広く動いて基点を作る。

レアルは前半14分にカウンターからようやくクリロナがシュートを放ち、そこからはリバプールの3トップと中盤の間にあるスペースを使ってレアルがポゼッション、徐々に落ち着きを取り戻す。リバプールも22分に左サイドをミルナーが突破、セカンドボールを拾って最後はアーノルドがシュートもナバスがキャッチ。

しかしここでリバプールに大きなアクシデント。前半26分にサラーの腕をセルヒオ・ラモスが巻き込んで脇固めにようになったまま倒れてしまい、サラーが肩の靭帯を負傷して退場してしまう。そしてレアルも36分にカルバハルが怪我でナチョと交代。

これでリバプールはモメンタムがやや落ちてしまったのか、前半の終わり頃はレアルがボールを支配。42分にイスコのクロスからクリロナがヘッド、GKカリウスが弾いたボールをベンゼマが押し込んだがオフサイドの判定。そしてサイドチェンジからナチョがダイレクトもサイドネット、ロスタイムにはベンゼマのミドルと、リバプールは何とかレアルの猛攻を耐えきって前半を終了する。

リバプールはここから後半どう立て直すかと思ったのだが、後半6分に悪夢がやって来る。リバプールGKカリウスがベンゼマへのスルーパスをキャッチした後、DFにスローしたボールがベンゼマに当たってゴールという、CL決勝の舞台にあるまじき珍プレーを披露してしまう。が、リバプールは気丈にも反撃し、後半10分にCKからロヴレンが折り返したボールをマネが押し込んで同点に追いつく。

後半16分にジダン監督はイスコに代えてベイルを投入、フォーメーションを4-3-3に変更したのだがこれが結果的に大当たり。19分にマルセロからのマイナス気味のクロスをベイルがオーバーヘッドシュートを決め、再びレアルが試合をリードする。

リバプールもロナウドの決定的なチャンスを防ぎつつ、マネのポストに当たったシュートなど追いつくチャンスは作ったのだが、後半37分に右サイドから放ったベイルの無回転シュートをGKカリウスが何とキャッチしながらも後逸してしまいレアルが3点目。ロスタイムにはロナウドのシュートチャンスに観客が乱入というハプニングはあったがそのまま試合終了、レアルがチャンピオンズリーグ3連覇を達成した。

直接的な敗因は、リバプールGKカリウスの2失点に繋がったミスなのは確かだろう。有能なGKではあるがまだ年齢は若干24歳。チャンピオンズリーグ決勝という大舞台に耐えられるメンタルや経験が備わっていなかったのだろう。ただ、リバプールにとってはそれ以上にサラーの退場が大きかったように思う。序盤はサラーとマネの2人が交互にDFラインの裏を狙うスピードにレアルの守備陣がアップアップ状態だったのに、それがマネ1人になった事でレアルの守備が一気に安定してしまった。そしてそれ以上に、それまでイケイケだったリバプールのメンタル的な勢いがガタッと落ちてしまった事である。サッカーにアクシデントは付き物だとは言え、90分間万全なサラーがいた状態で試合を見たかったね。