「チームメイトから胴上げされ、”日本人は下手くそ”というレッテルを上書きした乾」スペイン・リーガエスパニョーラ第37節 エイバル-ラス・パルマス

リーガ・エスパニョーラ1部も残り2試合。欧州戦への可能性が無くなったエイバルと、既に降格が決まったラス・パルマスという目標が無い同士の対戦になったが、ホーム最終戦という事でエイバルのスタジアムにはいつもより多くのサポーターが詰めかけていた。

エイバルもラス・パルマスもフォーメーションは4-2-3-1と全く同じで、エイバルは1トップがシャルレス、2列目が乾、ジョルダン、オレジャーナと並んだ形でスタート。

試合は序盤から既に降格が決まって今更失うものが無いラス・パルマスがエイバルを押し込むが、前半の6分に相手のミスを乾が拾い、中央へ縦パスを送るとシャルレスと入れ替わるようにして入って来たオレジャーナが拾い、最後はイージーなラストパスを受けたシャルレスがきっちり押し込みエイバルが先制ゴールを決める。しかしその直後、エイバルのボランチディオプが足首をひどく蹴られてエスクランテと交代するアクシデント。

その後は、早めにゴール前へとロングボールを放り込み、セカンドボールを狙うラス・パルマスと、ボールを奪ったらサイドで基点を作って落ち着かせたいエイバルとのせめぎ合いが続く。

そんな中で、前半34分に乾は左サイドでボールを受けると ディフェンス3人の中をドリブルで突っ込み ペナルティエリアの すぐ外で倒されるもノーファールで流される。その後はどちらもビッグチャンスを作る事無く前半を折り返す。

後半になると、エイバルは前半以上に攻撃の狙いをワイドにする方針を固め、サイドの高い位置で基点を作って攻め込み、ボールを奪われてもボランチが前線をしっかりマンマークしてカウンターを許さない。どちらかと言うと右サイドのオレジャーナを使った攻めが多かったが、 乾も後半30分にようやく中へ切れ込んでからのミドルシュートを打つと、38分にはパスを受けてからのターンでまたシュートと存在感を見せる。

エイバルは勢いを維持したまま90分を過ぎ、後半ロスタイムにはラス・パルマスに2度ほどセットプレイのチャンスを与えたが、試合はそのまま動かず。最後は相手のカウンターを止めて乾がイエローカードをもらった直後にタイムアップ。

乾はこの試合でも得点に絡むなど勝利に貢献、試合後はチームメイトから胴上げされるなど、すっかりエイバルにとって愛される存在になった。少し前までは、スペインじゃ日本人はテクニックはあってもサッカーが下手くそというレッテルを張られていただけに、ここまで高く評価されている事に感無量である。移籍が濃厚とされているベティスでは、またレギュラー争いへヨーイドンからのスタートになるが、是非とも勝ち上がって日本人にとっての大きな目標であり続けて欲しいね。