「ボールに触らない”アシスト”で、勝利に貢献したとも言える伊藤達哉」ドイツ・ブンデスリーガ第31節 ハンブルガーSV-フライブルク

ドイツ・ブンデスリーガもいよいよ残りが4試合。現在17位のHSVの相手は、すぐ上の順位である16位のフライブルク。これに負けると勝ち点差は3試合で8になり、ほぼ残留は絶望的になるセメントマッチ。

HSVのフォーメーションは4-1-4-1で酒井高徳と伊藤が左サイドの縦並び。対するフライブルクは4-4-2でスタート。HSVはコスティッチと伊藤の両SHがサイドに張ってワイドな攻撃を仕掛け、出足はHSVの勢いが上回ったが、徐々にフライブルクは落ち着いてボールを回せるようになる。

前半29分、シュタインマンの鼻血で1人少ない状況のHSVは、FKからフリーでヘディングを打たれるがGKポラースベックが反応して防ぐ。HSVはラインが高い分、一発のロングボールからあわやシュートという場面を作られる事が多い。

さらに36分には、酒井の裏を破られてのシュートはポラースベックが足1本で止め、こぼれ球のヘディングもセーブ、さらにそこからシュートを打たれるが味方が競ってジャストミートせずGKがキャッチ、42分には左サイドから個人技で抜け出され、ペテルセンへのクロスが上手く当たらず、立て続けの決定機も防ぎ切る。

嫌なムードが漂いながら試合を折り返したHSVだったが、後半9分にシュミットへの長いボールから最後はホルトビーが相手のクリアを拾ってPA内までドリブルで持ち込み、待望の先制点をゲット。その後はHSVの攻勢が続き、13分には立て続けにセットプレイからチャンスを作るが、ウッドの決定的なヘディングは枠に行かず。

後半18分にカウンターから最後は伊藤がPA内で2人を抜いてシュートもGKに弾かれる。20分、伊藤とのワンツーでオーバーラップした酒井が最後はクロスに合わせようとするも空振り。22分、酒井からDFライン裏へ抜けたハントへ絶妙なスルーパス。さらに25分、フライブルクはソユンクが2枚目のイエローでさらに追い風が吹くHSV。

しかし数的不利になったにも関わらず、これでスイッチが入ったかのようにフライブルクは攻勢を仕掛け、ロングボールを入れてプレスを仕掛け、セカンドボールを拾う形を見せる。HSVは守備を意識してラインが下がって防戦する流れになるが、逆にカウンターのチャンスも得られるようになる。

後半44分には、そのカウンターから完全に2対1になるがウッドの判断が遅く、コスティッチへのパスがずれてシュートは相手にカットされて2点目ならず。後半ロスタイムにはCKからフライブルクGKシュヴォロフが強烈なボレーを放つも枠外、そしてそのまま1-0で試合終了。

これでHSVは5連敗のフライブルクに勝ち点5差まで迫り、首の皮一枚の可能性は残した。とは言え逆転残留をするためには、残りの3試合で3連勝するしかない極めて厳しい状況だが、果たしてHSVの初降格を逃れる奇跡が起こるのか注目である。

伊藤はフル出場はならず後半41分で交代。対面の右SBキュブラーが伊藤を警戒してか全く攻撃参加せず、伊藤がボールを持つとボランチもすぐさま寄せて来てダブルチームを組まれたので、見せ場自体は少なかったがそれだけ相手の攻撃力を削ぐアシストをしていたとも言える。

酒井は豊富な運動量で攻守に走り回っていたが、ロスタイムにせっかくリードしているのに無駄な上がりから裏を取られて味方にイエローで救ってもらったりと、軽率なプレイもしばしばないつものキャプテンであった(笑)。