ハリルホジッチ解任論にサッカー的な視点など無く、単なるストレス解消のオモチャに過ぎない
残念ながら、1分1敗で終わってしまった今回の欧州遠征を受けて、案の定マスコミからはハリルホジッチに対して7日以内に解任を要求したり、あろうことか風間八宏監督を後任に推したり、空中分解と称したりする記事が出て来ていますね。
まあ、杉山氏や小宮氏ら上記ライターを糾弾する意見もあるようですが、しょせんライターなんてのは編集部の意向に沿った流れで書かざるを得ないもので、テレビでも地上波だとご意見番として監督批判を繰り返すセルジオ越後氏や、ほとんどサポーターとしての視点になってしまう松木安太郎氏が、CS放送などで代表が絡まない解説になると、とたんに冷静で客観的な意見を出すことは良く知られた事実です。
YAHOO!ニュースのアクセスランキングを見ても、解任を謳い上げた扇動的な記事のほうが、冷静なそれよりもはるかにアクセスがあるのは確かであり、根本はサッカーを販売部数やアクセス稼ぎの材料としか考えていないスポ新やスポルティーバのような発信側の問題で、杉山氏のようなとっくに旬を過ぎ去ってしまったライターの方々も自分と家族の生活があるからね、とちょっとだけ同情する気持ちもあったりします(笑)。
とは言え、そんなプロレス的な茶番にあっさり煽られる人が少なくないのも残念な事実で、今日のTwitterで代表に対して冷静でフラットな意見を述べられていた河治さんに、こんなリプライが来ていたのにはさすがにげんなりしましたね。
“支持”の意味がよくわかりませんが、見届けている以上はどんな結果になっても検証をするべきでしょう。それが責任。特に解任をさけんでない記者でも100%グループリーグ突破するなんて誰も思ってないでしょう。そんな簡単な大会ではない。なので勝っても負けても、自慢も謝罪もないです。 https://t.co/nPKGrwEsh0
— 河治良幸 (@y_kawaji) 2018年3月28日
そもそもライターを支持派と解任派に分け、勝ち負けを論じて何の意味があるんでしょうかねえ? トルシエ時代から何一つ世間は変わらず、未だにこんな人がゴロゴロいるから、いつまで経っても日本は強くならないんじゃないかと思いますな。
今の日本ではサッカーに限らず、スポーツにしても政治にしても、単に自分のフラストレーションをぶつける対象としてしか考えていない人が多いのは事実で、とにかく誰々辞めろとスケープゴートを探しては声の限り叫びまくり、いざ辞めたらそんな事はスカッと忘れ、また新たな生贄を見つけ出しては繰り返すだけですからね。未来も生産性もPDCAもクソもない。
仮にもハリルホジッチはジーコとは違って、W杯で実績を挙げている監督。結果的に日本と合わなかった、という事になるかもしれないが、それはそれできちんと検証した上で、それでも学ぶべきところは多いはず。首を飛ばして新しい監督を備え付けたらOK、みたいな考えは日本サッカーを滅ぼすだけだ。
— こばやしりょーじ (@gazfootballcom) 2018年3月29日
ただあえてそんな議論に乗ってみますと、監督を解任するかどうかの判断については、個人的には2つの状況しか無いと思ってます。1つはチームの中が精神的にバラバラになってしまって統率が取れなくなっている状態。そしてもう1つは、監督の戦術を無視して選手が勝手にサッカーをやってしまっている状態。
日本代表で言えば、前者はサブ組が完全に腐ってしまったジーコジャパン、後者はザックジャパンといったところでしょうか。ザックの場合は、本田があくまで「自分たちのサッカー」を遂行する事をザックに直談判し、ザックがそれを追認してしまった事で、不幸な事に大会が終わるまで問題は表面化しませんでした。
そう考えると、今のハリルホジッチジャパンでは、監督と選手の考えにすり合わせは必要なものの、上記の2パターンに当てはまる面は無く、ハリルホジッチを解任するに足る根拠は全く無いと思っています。そもそも、選手としても監督としてもW杯で実績を残している人に対して、いったい日本の誰が上から目線で見られるのでしょうか(笑)。
ただしこれからの本大会については全く楽観視は出来ません。特にボランチの能力不足は深刻で、他のポジションについては代えはいないけれども計算できる選手がいるのに、ボランチだけはワールドクラスに対抗できる選手がおらず、4-4-2のゾーン・ディフェンスをマネージメント出来る能力を欠いているのは痛恨です。
長谷部は結局クラブではリベロをやってるし、山口は欧州挑戦を諦めてセレッソに戻り、井手口はスペインの2部で出番を失ってしまいました。国内組の大島と柴崎、三竿は世界レベルのインテンシティには程遠いのが事実で、現代サッカーでは文字通り攻守の要であるポジションが明らかに力不足な状況に陥っています。それは今更どんな監督を代表に据えたところで解決なんか出来ません。
ボランチの弱さ故に、両ウイングは守備に追われてポジションが下がるため1トップの選手が孤立、トップ下までパスが来なくて試合から消えるという問題は、2トップにすれば岡崎や武藤の起用である程度解消が見込めるものの、ゾーンのバランスを取って中盤を2人で守れるような選手が日本にいないので、結局は鶏と卵のような堂々巡りになっているのが現状です。
W杯のメンバー候補には、おそらく井手口や長澤も再び入ってくるでしょうし、怪我が治った香川も当然有力候補で、欧州遠征を見る限り山口蛍も絶好調には程遠く、中盤では長谷部以外に選出が約束された選手はいません。フォーメーションと選手のバランスをこれからハリルホジッチがどう考えていくのか、非常に注目されるところです。
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2018/03/30 | 日本代表
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