「中国では下手だったパウリーニョが、突然上手くなってしまうバルセロナのマジック」UEFAチャンピオンズリーグ ベスト16第1レグ チェルシー-バルセロナ

昨シーズンはリーグで圧勝しながら、今期は不調でフロントとコンテ監督の確執が明らかなチェルシーに対し、夏の移籍市場でネイマールを失ったものの、リーグでは首位を独走している盤石のバルセロナという対照的なチーム同士の試合になった、チャンピオンズリーグベスト16。

フォーメーションは、バルセロナがスアレスとメッシの2トップに、ボランチにラキティッチとブスケツ、SHにイニエスタとパウリーニョを並べた中盤フラットの4-4-2で、チェルシーはアザールとペドロ、ウィリアンが前線に並んだ3-4-3だが、実質的にはアザールのゼロトップという、どちらも変化球な態勢で挑んで来た。

チェルシーの狙いは明らかで、ホームではあるが自陣に4-1-4-1のコンパクトなゾーンを引いて徹底的にバルサの攻撃陣に対してスペースを与えない事。当然ながらバルサは圧倒的にポゼッションをするのだが、ボールを奪われるとスッと4-4のゾーンを自陣に下げてアザールらにカウンターをさせないようにしていたため、試合展開は互いにシュートが少ない地味なものになってしまった。

ただ、チェルシーがバルサのブロックに対して外から攻める事しか出来ないのに対し、バルサはメッシやイニエスタにボールが入ると、どんな狭いスペースに閉じ込めても個人能力で打開して来る恐ろしさがあり、前半15分にはメッシのクロスから右サイドで待ち受けていたパウリーニョがフリーでシュートも枠外という決定的なチャンスを作る。

この試合を解説していた岡ちゃんが、パウリーニョは中国では全然上手くなかったのに、バルサに入ると何故か上手くなった。ブスケツも足は遅いし高さは無いし、他のクラブは決して取ろうとしないけどバルサには不可欠だと言ってて面白かった(笑)。やっぱ現場から見ても、バルサのスタイル、サッカーは異質なんだろうね。

しかしチェルシーも、バルサの戻りがやや遅くなった前半30分頃からカウンターを中心にチャンスを作る。まず32分にウィリアンが中に切れ込みクロスバーを叩いたシュートを放ったのを皮切りに、40分にはピケがクリアし損ねたボールをウィリアンが拾ってシュートもこれまたポスト、41分にはFKからのイーブンボールをアザールがダイレクトボレーもシュートはわずかにバーの上と、惜しいシーンを連発するがそのままスコアは動かず前半を終了する。

後半になるとチェルシーがややラインを上げてプレッシャーを強め、DFライン裏にスペースが生まれたバルサは、早速後半9分にイニエスタのパスからスアレスが抜け出し、個人技だけでシュートまで持っていくがチェルシーGKクルトワがファインセーブ。しかし、アザールのドリブルを中心にリズムを掴んだチェルシーは、後半17分にショートコーナーからウィリアンがカットイン、バルサ守備陣の外側から巻くコントロールショットを決めて先制点をゲットする。

その後はまたチェルシーが守備を固め、何度かカウンターの場面を作ってバルサを突き放すチャンスはあったのだが決められず、そして迎えた後半30分、チェルシーDFクリステンセンが自陣で横パスをミスしてしまい、チェルシーはスライディングが間に合わずイニエスタにボールが渡ってしまい、折り返しをメッシがきっちり決めてバルサが同点に追いつく。

チェルシーは、その後にモラタ、ドリンクウォーターと立て続けに選手を交代するも大きく戦況は変えられず、そのまま1-1で試合終了。ゲームプラン的にはチェルシーのものだったように思うが、決定力不足と味方の痛いミスでバルサにアウェイゴールを与えてのドローにしてしまった。とは言え、バルサも絶好調時の怖さは無いのでチェルシーにも逆転のチャンスはあると思う。3週間後の第2レグが楽しみだね。