「チーム力としてはエイバルが上回るも、乾以外の攻撃陣に冷静さを欠く」リーガ・エスパニョーラ第24節 エイバル-バルセロナ

リーグ戦4試合負け無しで7位と好調のエイバルが、首位を独走中のバルセロナをホームに迎えてどんな試合をするのかと注目していたのだが、結果だけを見れば0-2とスコアレスの完敗であったものの、内容的にはむしろエイバルのほうが上回っていた試合だった。

エイバルはキケとジョルダンの2トップにSHが乾とオレジャナという4-4-2で、バルサはスアレスとメッシの2トップに、トップ下がパウリーニョ、インサイドハーフがイニエスタとラキティッチという布陣。

この並びを見ても分かる通り、バルサはアンカーに入ったブスケツの横をカバーするためイニエスタとラキティッチが中へ絞ったポジショニングを取るので、かなりサイドにスペースが出来る。そこをエイバルははっきり狙っていて、DFからフィードをサイドに送るのは当然として、さらに乾とオレジャナが互いにサイドチェンジのパスを出し合い、バルサを揺さぶる攻撃を見せる。

そして当然ながらスアレスとメッシは守備に戻らないため、中盤のセカンドボール争いでもエイバルはバルサを上回り、前半5分には早速カウンターから乾がドリブルを仕掛け、オレジャナに絶妙なグラウンダーのパスを通してシュートに繋げるなどチャンスを量産するが、オレジャナはボールを持ったらシュートしか考えていないし、キケとジョルダンはバルサ相手のせいもあるのかシュートで力んだりして上手くミート出来ない。

逆にバルサは前半16分、メッシからエイバルの高いDFラインを抜け出したスアレスにスルーパスが通り、スアレスは一瞬のフェイントでエイバルGKドミトロヴィッチを誘い出し、余裕で交わしてシュートを流し込み、2人だけの力でゴールを決めてしまう。さらに前半35分にもスアレスのゴールライン際からの戻しをメッシが強烈なシュート、これはポストに当たってエイバルは命拾い。

後半になると、前半は終始エイバルに押されていたバルサは、前後がコンパクトになってメッシとスアレスをトップ下のパウリーニョが追い越す動きを見せるようになり、本来のポゼッションを発揮し始める。が、エイバルもカウンターからチャンスを作るようになり、11にディオップのワンタッチパスからオレジャーナがクロス、これはコースが少し後ろになって中に入った乾にとっては体勢が苦しく、シュートは枠を外れてしまう。

しかしここでオレジャナが試合を決めてしまうボーンヘッド。後半21分に、審判の判定に対して不服を見せたオレジャーナが手でボールを放り出し、2枚目のイエローで退場、さらにメンディリバル監督も異議を唱えて退席処分を食らってしまう。

それでもエイバルは、サイドチェンジこそ少なくなったが数的不利を物ともせずに互角の展開を見せ、後半34分には乾がサイドチェンジを受けてカットインからシュートもGK正面、2分後にも乾のパスからのこぼれ球をまた乾が拾ってシュートも相手に当たるなど、乾を中心に反撃を見せるも得点には至らず。

逆に後半42分、途中出場のコウチーニョからサイドチェンジ、そこからダイレクトの落としをメッシが拾い、GKドミトロヴィッチが飛びだして弾くもこぼれ球をジョルディ・アルバが押し込み、バルセロナが試合を決める2点目、そしてそのまま試合終了。戦術組織、献身性といったチーム力ではバルサを上回ったエイバルだったが、個人能力の差だけで試合を決められてしまった。

乾はチームメイトの多くが冷静さを欠く中、周りを使って確実にチャンスをお膳立てするだけでなく、良いタックルからボールを奪うなど守備面でもチームを引っ張る存在だったが、やはり2本あったPA付近からのシュートのどちらかは決めて欲しかった。ここからワールドクラスの選手へともう1段上がるためには、やはり得点力の向上が望まれる。