「確かな切り札を持つレアルと、札があっても使い方が分からないPSG」UEFAチャンピオンズリーグ ベスト16第1レグ レアル・マドリー-パリ・サンジェルマン

今期のチャンピオンズリーグで、優勝候補と見られるレアル・マドリーとパリ・サンジェルマンが早くもベスト16で対決するという事で、非常に注目が集まった試合。

レアルのフォーメーションはベンゼマ、クリロナの2トップにイスコがトップ下に入った4-3-1-2、PSGはいつも通りカバーニ、ネイマール、ムバッペの3トップが並ぶ4-3-3。

試合はいきなりホームのレアルがアクセルをフルスロットルで踏み込み、PSGに対して猛烈なプレスを仕掛ける。フォーメーション的に中盤の3人がマッチアップするのだが、レアルはイスコ、クロース、モドリッチの3人がそれぞれマンマークを仕掛けてパスを寸断、PSGはかろうじて中盤に下りているネイマールに預けて何とかボールを運んでもらうのが精一杯。

ようやく前半20分を過ぎるとレアルのペースが落ち始めて試合が落ち着き、ネイマールとクリスティアーノ・ロナウドのどちらにもシュートチャンスはあったが決められず、少し膠着状態になったと思われた前半30分、ムバッペがマークに付いたマルセロを抜き去り、中央に走り込んだネイマールがクロスをヒールで後ろに流すと、待ち構えていたラビオがダイレクトで蹴り込み、アウェイのPSGが鮮やかな先制点を決めてしまう。

レアルは当然反撃を開始するも、失点直後にはクリロナがフリーで合わせる決定機があったが枠を外れ、イスコのクロスからベンゼマがジャストミートしたシュートもPSGのGKアレオラのファインセーブに遭って得点ならず。これでPSGがリードしてハーフタイムを迎えれば良かったのだが、前半のロスタイムにドリブルを仕掛けたクロースをロ・チェルソが後ろから抱え込んでしまいPK、これをクリロナが豪快に決めて同点にされてしまう。

後半は逆にPSGにチャンスが生まれる。3分にラビオの基点からカウンター、ネイマールのペナルティエリアを横切るパスに、逆サイドのムバッペがシュートを打つもレアルGKナバスに防がれ、8分にはサイドを突破したダニ・アウベスからのクロスをラビオがシュート、これがセルヒオ・ラモスの腕に当たったように見えたが判定はノーファール。

両チームがっぷり四つの攻防にケリを付けたのはジダン監督の采配だった。後半13分に投入したベイルはほとんど役に立たなかったが(笑)、34分にカゼミーロに代えてアセンシオを入れ、4-4-2のフォーメーションにした事でサイド攻撃が活性化する。逆に、PSGはネイマールがレアルSBナチョに封じられて攻撃の勢いがピタリと止んでしまう。

まず後半38分にクロスのこぼれ球を拾ったモドリッチから左サイドを抜け出したアセンシオにパスが渡り、アセンシオのクロスをGKアレオラが弾いたボールに、ゴール前に詰めていたクリロナが押し込み2点目をゲットすると、41分には左サイドでのパス交換からアセンシオが折り返し、インナーラップでPA内に走り込んだマルセロが叩き込んで電光石火の3点目。

後半ロスタイムに、PSGは途中交代で入ったドラクスラーのクロスからネイマールが中央で合わせるも枠を外し、その瞬間に試合終了。レアルはPSGに先制点を許したが、終わってみれば3-1の快勝。PSGホームで迎える第2戦に向けて大きなアドバンテージを手にする事になった。

PSGは気合が空回りしたのか、ネイマールとムバッペは個人勝負ばかり、それでもレアル相手にある程度チャンスを作るから怖いのだが、ホームで2点差以上で勝つとなると単なる個人能力だけでは厳しい。この試合では終始目立たなかったカバーニとのコンビネーションや、ディ・マリアやドラクスラーといった豊富なはずの手駒を使いこなせるがどうかが、第2戦のポイントになりそうだ。