「バルサ相手に前回のようなヒーローにはなり損ねた柴崎」スペイン・リーガエスパニョーラ第23節 バルセロナ-ヘタフェ

現在リーガでは勝ち点9の差を付けて圧倒的な首位に立っているバルセロナ相手に、柴崎が先発したアウェイのヘタフェがスコアレスながらドローに持ち込んだと聞いたら、やっぱりその試合を見ざるを得ないよね。

さてそのヘタフェがどんな守備をしていたのかと注目して試合を見始めたが、フォーメーションは柴崎がトップ下に入ったいつもの4-4-1-1で大きく変わらず、最初からあまりベタ引きにはならず、ラインをしっかり統率した上で押し上げ、全体をコンパクトにまとめた守備で入っていたのはちょっと意外だった。柴崎は、1トップのアンヘルとともにCBとボランチに対してプレスをかける役割。

それに対してバルサは4-4-2のフォーメーションながら、ダブルボランチに入ったブスケツとラキティッチのどちらか一方が2列目に上がり、メッシとコウチーニョが幅広く動いてボールに触ってリズムを作り、ヘタフェの4-4ゾーンが中央に固まったところでSBのジョルディ・アルバとセルジ・ロベルトがオーバーラップ、クロスからチャンスを演出するが、ヘタフェの守備陣も最後ギリギリまで粘ってシュートを防ぎ、そう簡単にはバルサに失点を許さない。

そこまで全くボールに触れなかった柴崎だったが、アマトとポジションを交代して左SHに入ってからは中盤の基点として機能するようになってヘタフェが何度か良い形を見せ始める。そして前半39分にカウンターからアンヘルが抜け出し、惜しくもシュートはファーに外れたが決定的なチャンスを作ると、40分にも柴崎がワンツーで抜け出し、GKと1対1になって対処を迷ったのか右足アウトサイドでの折り返しが上手くヒットせずボテボテに。

前半終了間際にオフサイドにはなったがスアレスが後ろからの浮き球を芸術的なボレーでゴールを揺らすと、後半12分にもヘタフェGKグアイタのファインセーブに阻まれたが、コウチーニョがカットインからのミドルシュートでバルサのペースになるかと思われたのだが、後半14分に柴崎が右サイドを抜け出しバルサGKテア・シュテーゲンが前に出ていたのを見てロングシュート、これが決まっていればヒーローだったが残念ながら枠外。その後もアントゥネス、アマトと惜しいチャンスを作ってヘタフェも盛り返す。

しかし後半25分を過ぎると、イニエスタとデンベレを投入したバルサが完全にボールを支配、ハーフコート状態でヘタフェを攻め立てるが、メッシやスアレスの抜け出しに対しては絶妙なラインコントロールでオフサイドに仕留め、そこからの15分間で6本も打たれたシュートに対してはグアイタがことごとく反応して凌いでいく。さらにヘタフェは後半31分に柴崎をトップ下に戻してフラミニを投入、42分には柴崎を下げて5バックにするなど、徐々に守備固めにシフトしてドローで逃げ切りを図る。

後半ロスタイムに、クロスからスアレスがフリーでドンピシャヘッドを放つが、これもグアイタがスーパーセーブで防ぎ、試合は結局0-0のまま動かずスコアレスドローで終了。2位のアトレティコがマラガにアウェイで勝利したため、バルサのリードは勝ち点7に縮まり、今週から再開するチャンピオンズリーグ、ベスト16のチェルシー戦に向けて不安が残る試合になってしまった。

柴崎は2度の決定機があったのにどちらも決められず、前回の対戦のようなゴールの再現はならなかった。もっとも、下手に点が入っていたらホームのバルサに火が着いてあっさり逆転された可能性もあるわけで、そこはチームとしても柴崎としても痛し痒しかなと(笑)。今回、途中で左SHに入ってからはリズムが良くなったので、トップ下でロングボールに競わせるよりは、他のリーグ戦でも同じポジションで起用してもらいたいところだ。