「攻撃陣には辛い塩サッカーで、久保が1G1Aの結果を出せた重み」ベルギー・ジュピラー・プロリーグ第26節 ヘント-シントトロイデン

チームは最近の4試合で2勝2分け負け無しと好調だったが、この3ヶ月はずっと得点を決める事が出来ていなかった久保。しかし今節、冨安は怪我で日本人対決にはならなかったが、シントトロイデン戦でようやく今シーズン7点目となるゴールとアシストを決めた。

ここまで久保がゴールから遠ざかっていた理由は、ヘントの試合を見ればすぐ分かる。フォーメーションは4-2-3-1でトップ下には久保が入った形だが、とにかく攻撃がサイドを経由する形に偏重していて、真ん中に縦のボールが入ることがほとんど無い。

そして基本的にウイングが開いた状態で攻める形が多くてSBのオーバーラップも少なく、それで守備は安定するものの、バイタルエリアに存在しているのは久保だけになって、味方とのコンビネーションは頼れず個人の力だけで打開せざるを得ない。こうなるとフィジカル能力で劣る久保が出来ることは少ない。

しかしそれでも、久保は何とか不得意なハイボールにも競り合い、ボールは出て来ないがDFライン裏への飛び出しを続けるなど、結果を出すためにずっと孤軍奮闘していたのだが、やっとこの試合の前半10分にそれが報われる。久保は味方のロングボールに競り勝ち、それを1トップのヤンハがまた競ったこぼれ球を再び久保が拾ってそのままシュート、これがヘントの先制点になる。

しかしシントトロイデンも4-4-2のゾーンから早めのマンマークで粘り強く守ってヘントの選手をフリーにさせず、徐々にヘントのミスからカウンターで良い形を作り始めると、前半19分にはヘントの甘いマークを見逃さず、右サイドからクロスをヘントDFが何とかクリアするもクロスバー、そして41分には3度もポストに当たる超決定機をシントトロイデンに作られてしまうが、何とか無失点で前半を折り返す。

さらにヘントには幸運が訪れる。後半5分に久保のクロスが流れたところをヤレムチュクが拾ってドリブル突破、これをシントトロイデンのSBキツィウが引き倒し、2枚目のイエローで退場してしまう。そして11分にカウンターから久保が中央でドリブル、パスを受けたヤレムチュクがファーサイドにコントロールショットを決めてヘントが2点目をゲットする。

反撃に出たいシントトロイデンだが、その後もフォーメーションは4-4-1のままであまり前に出て来ず、ヘントもDFやボランチが比較的ラクに前を向けるのはいいが、久保も前線で張ったままの状態が多くなり、そこからの攻めが雑になって試合は膠着状態に。そしてようやく後半20分に、右サイドへの大きな展開からSBフォケが入れたクロスを、中へ飛び込んだヤンハがきっちり合わせて3点目、これで試合は決まってしまった。

久保は後半36分に、右からのクロスをシントトロイデンGKステッペが弾き、そのこぼれ球を拾って反転からシュートを放つが枠外。その直後にラスキンと交代、試合はそのまま3-0でヘントがクリーンシートの勝利を飾った。

結果的には快勝だったがヘント自体の決定機はそれほど多かったと言えず、そんな中で久保が1ゴール1アシストという結果を出したのは喜ばしい。トップ下が攻撃の組み立てにほとんど関与しない今のチームスタイルでは、得点に絡まない限り評価はされない。厳しい立場ではあるが、何とかシーズン二桁には乗せてW杯へはずみを付けたいところだね。