「ハリルホジッチ・ジャパンと同じジレンマに挑む、アンデルレヒトの森岡」ベルギー・ジュピラー・プロリーグ第25節 アンデルレヒト-KVメヘレン

冬の移籍で、ワースラント・べフェレンからリーグ3位の強豪アンデルレヒトへとステップアップ移籍を果たした森岡。早速、先週に行われたベルギーリーグの試合で先発出場したので、早速試合を見てみた。

事前の情報では、アンデルレヒトのフォーメーションは3-4-2-1で、森岡は左のSHで先発かなと思ったのだが、途中から左WBのサイフがほとんどウイングのようにサイドで張るようになったので、事実上は森岡がトップ下に入った4-2-3-1のようなフォーメーションになっていた。

べフェレンではトップ下の王様として君臨し、全ての攻撃は森岡を経由して始まっていたのだが、アンデルレヒトではさすがにそうも行かず、相手との力関係で攻撃のスペースが無い上に、1トップのガンブラは前に突っ立った電柱で、サイフはひたすらドリブル突破をするだけで、前線の森岡とはコンビネーションもクソもなく、バイタルで待っていてもほとんどボールが出て来ない。

それならばと、ボールを受けるためにDFライン裏への飛び出しに切り換えた森岡は、前半11分にその形から左サイドを抜け出し、ダイレクトのクロスをガンブラの頭にピタリと合わせ、幸先よく先制点をアシストする。

が、アンデルレヒトの4バックは、ラインが高い癖に裏を取られやすく、しかもセカンドボールに対してボールウォッチャーになり過ぎ、その直後にメヘレンにサイドを破られると、最後は右からのシュートをアンデルレヒトGKセルスが弾き、そのこぼれ球を押し込まれ同点にされてしまう。さらに21分には左からのボテボテだったクロスをDFのスパイッチがクリアし損ねオウンゴールと、あっという間に逆転されてしまう。

相変わらずボールが来ない森岡は、前半25分頃からボランチの位置まで下がってパスをはたき、そこから動き直してパスをもらおうとする、かつて香川がドルトムントで良くやっていた動きでアンデルレヒトにパスサッカーのリズムを植え付けようとしていたのだが、後半になるとまた前半最初のように前に留まったままで、DF裏へのパスを狙う形に戻ってしまった。

そして相変わらずアンデルレヒトの守備は改善せず、その後もカウンターから何度も決定機を作られるが相手の決定力に助けられると、後半12分に左サイドから何でもないふんわりクロスをガンブラが単純に高さで競り勝ってファーサイドにゴール。あまり攻撃の形もクソもない力技でアンデルレヒトが同点に。

アンデルレヒトは後半24分に、久々に森岡が攻撃に絡んでガンブラにスルーパスを通すがシュートまで持って行けず。しかし後半34分、ロングボールをガンブラが競ったボールを森岡が拾い、PAへ侵入したところで後ろから倒されPK。これを森岡はいち早く拾ってキッカーに名乗りを上げたのはいいが、キックはゴール左へと外してしまう。

GKの飛んだコースとタイミングが、森岡のキックに合ってしまっていたので、たとえ枠内に飛んでいでもセーブされた可能性は高く、森岡はちょっと焦ってしまったのかもしれない。もう少し冷静にGKの動きを読んでいれば良かったのだが、そこまで余裕が無かったのだろう。そして森岡は後半45分に交代。

ロスタイムも終わりまじかに、PAすぐ外でファールを犯してしまうピンチはあったが、相手のFKは宇宙開発で助かり、試合はそのまま2-2の同点で終了。アンデルレヒトはPK失敗という結果だけを見れば惜しいが、最下位のメヘレン相手のホームと考えれば到底褒められない内容で終わってしまった。

前半に見せた森岡のプレイをハーフタイムで修正したのは、おそらくヴァーゼブルック監督の指示によるもので、アンデルレヒトはハリルホジッチジャパンのようにひたすら縦に速いサッカーを目指している可能性が高い。そしてご存知のように、森岡のプレイスタイルとインテンシティの高いサッカーは相性が悪い。

森岡にとっては、これから監督が目指す攻撃スタイルを変更しない限り、チームに順応するためには相当な努力が必要になって来るだろうが、逆に言えばこれからアンデルレヒトで活躍できるようになると、それは代表でもレギュラーとして通用する事にも繋がる。彼にとっては簡単な道ではないが、是非とも克服してくれる事に期待したい。