「新戦力の差が産んだエイバルの圧勝劇、乾はちょいとお疲れモード?」スペイン・リーガエスパニョーラ第24節 エイバル-セビージャ

先週、セビージャは柴崎のいるヘタフェと対戦し、結果こそ試合終了間際の得点でラッキーなドローに終わったものの、明らかにセビージャのほうが強いと思った試合だったのだが、それだけにまさか次節のエイバルが5点を取って圧勝するとは思わなかった。

互いにハイプレスを持ち味とするチームの対戦は、それほどチーム力の差が大きくなくても、ちょっとしたボタンの掛け違いによって思わぬ大差になる事が多かったりするのだが、この試合もまさにそのパターンに嵌った感じで、その決定的なポイントになったのが両チームに加入した新戦力の差だった。

まず試合開始から1分も経たない内に、エイバルのクリアボールが上手く左サイドへ飛び、エイバルのFWキケ・ガルシアが拾ってそのまま持ち込んで電光石火のゴールを決めたのだが、この場面ではセビージャに新加入した右SBのラユンがあっさり裏を取られてしまっていた。その後もラユンは主に乾をマークする役割を果たしていたのを見ても、そのタスクからの連携が上手く行ってなかったという事だろう。

逆にエイバルは、ゲーゲンプレッシングの意識がチーム全体に浸透していて、ボールを奪われても次から次へと選手が連動してプレッシャーをかけ、ほとんどセビージャにショートカウンターを許さない。そして攻撃でも、乾やラミスが大きなサイドチェンジを通したかと思うと、マークを受けている乾を飛び越してサイドに流れたキケ・ガルシアにアンヘルから浮き球の縦パスと、三次元を上手く駆使した組み立てでセビージャのプレスをかいくぐって行く。

前半7分に右からのクロスに乾がフリーで合わせたシュートは味方に当たってしまったが、17分にエイバルはカウンターからシャルレスがポストで流したボールを乾が拾ってドリブル、タッチライン際から戻したボールをアンヘルがアウトにかけたクロスを上げると、これにエイバルの新戦力であるオレジャナがきっちり合わせてエイバルが2点目をゲットする。

セビージャも前半20分にラミレスが浮かせたボールがダニ・ガルシアの手に当たってPK、サラビアが決めて1点差に迫ったがエイバルの勢いは落ちず、22分にオレジャナのクロスからフリーのキケがヘッド、セビージャGKリコが防いだこぼれ球を乾がシュートもわずかに枠の外という連続での決定機を作ると、31分にアンヘルのCKからラミスが頭で決めて3点目。

後半からセビージャはロケ・メサを諦めてバネガを投入、バネガはエイバルのプレスを受けないDFラインまで下がってゲームメイクを始めた事で、ようやくセビージャに攻撃のリズムが生まれてエイバルを押し込むようになる。が、後半16分にラングレの横パスを拾ったオレジャナがそのままこの試合の2ゴール目を決め、セビージャの出鼻を挫いてしまう。さらに後半17分、セビージャは左サイドを破って最後はフリーでシュートを打つ場面もあったのがポストと徹底的に運が無い。

その後もエイバルは運動量を落とさず粘り強く守り、後半37分にはアルビージャの直接FKが決まるオマケまで付けて、結局試合は5-1でエイバルが大勝を飾り、これで6位セビージャと7位エイバルの勝ち点差は1にまで縮まる事になった。

乾は2点に絡んでチームへの貢献度は悪くなかったが、常時ラユンのマークを受けていて、乾自身も中へポジションを移すなど工夫はしていたがボールはなかなか回って来ず、2回あったシュートチャンスも決められず。後半途中からは試合からも消えがちになっていたので、フル出場が続いて疲れが溜まっているのかもしれない。対面のオレジャナが結果を出しただけに、ここは1つ踏ん張りどころである。